伝説の音楽番組『Austin City Limits』50年の歴史に触れる【オースティン音楽旅行記Vol.4】
テキサス州の州都、オースティンの魅力を音楽ファン目線で掘り下げた観光レポート連載(全4回)。第4回は『Austin City Limits』を収録しているThe Moody Theaterを取材。アメリカのTV史上最記録を誇る音楽番組。その50年の歴史と現在地、夢のような環境が揃う「収録現場」兼ヴェニューを案内してもらった。 【画像を見る】ローリングストーン誌が選ぶ「歴代最高の500曲」
そもそも『Austin City Limits』とは?
米公共放送PBSの『Austin City Limits』(以下、ACL)は1974年に始まった音楽番組の草分けで、これまで1000本以上ものパフォーマンスを放送し、年間1億800万世帯が視聴。象徴的なスカイラインのロゴとともに「ライブミュージックの首都」を全国規模でアピールし、ロックの殿堂入りも果たした、同市でもっとも有名な文化プラットフォームの一つである。 「Saturday Night Live」「Jimmy Kimmel Live! 」といったトーク番組のパフォーマンスでは1~2曲をスタジオで撮るのが通例だが、ACLは「本物のライブを届けること」を信条に、たくさんの楽曲とフロアの興奮をノーカットで届けてきた。公共の電波を使って、今観ておくべき実力派のパフォーマンスを1時間前後にわたって放送。「Great music. No limits.」を合言葉に、若手からレジェンドまで多様なラインナップを起用し、まだ見ぬ才能をお茶の間レベルで浸透させてきた功績も大きい。 21世紀以降はマルチチャネル化にも力を注ぐ。2002年に始まったACL Festivalが、コーチェラやロラパルーザにも匹敵する巨大フェスに成長したのは本連載Vol.1で触れたとおり。YouTubeにも50年の秘蔵アーカイブが多数アップされている。筆者がシカゴからオースティンに移動する際には、アメリカン航空の機内プログラムでジェニー・ルイス/Munaの回を鑑賞した(1本のエピソードに2組が半々ずつ出演するパターンもよくある)。