Ridge-i、専門知識がなくても衛星画像を判読できるツールの提供を開始
Ridge-i(東京都千代田区)は衛星画像の判読を専門知識なしで簡単に処理できるという衛星解析ツール「Ridge SAT Image Analyzer(RSIA)」を12月6日から提供開始した。 衛星画像解析は、安全保障や都市計画、農業、環境モニタリングなど多くの分野で活用されている。しかし、衛星画像は、季節による植生の変化や時間帯による影の影響などがあり、AI(人工知能)や衛星の専門知識がないと解析が難しいという課題があると指摘されている。 衛星画像は1枚のデータサイズが数ギガバイト以上と大容量で、一般的なRGB(赤緑青)画像以外にも近赤外線など特殊な情報を含む多様な画像があり、画像を処理するうえでの技術面や効率面での課題となっている。衛星画像のライセンスはプロバイダーに帰属するものも多く、外部に解析を依頼する際には、さまざまな制約が生じている。 同社は、地図や道路、住宅、森林、固定資産、安全保障などのアセットを保有し、その管理や調査に課題を抱える官公庁や企業のニーズに応えるため、「課題を気にせず、衛星画像解析を気軽に試したい」という要望に応える形でRSIAを開発したと説明する。 RSIAは、ユーザー自身が開発した最先端モデルで学習、評価することが可能。秘匿性の高いデータでのモデル作成、データの特性にあわせたユーザー自身での試行錯誤ができる。 ワンコマンドで解析を実行するシンプルなインターフェースを採用している。専門知識がなくても最先端のAI(人工知能)モデルが活用できると説明。ユーザーの入力に応じてRSIA内部で最適な画像分割、衛星画像の前処理や後処理を選択して、自動で実行するという。オリジナルのAIモデルを作成したい場合でも、衛星画像とアノテーションを特定の場所に保管して、ワンコマンドだけで作成できるとしている。 コンテナ技術で構築していることでパブリッククラウドとプライベートクラウドのどちらでも稼働できる。セキュリティが厳しい環境下やライセンスの制約下、スケーラビリティが求められる環境下でも柔軟に対応できるという。 光学衛星だけでなく、近赤外線や合成開口レーダー(SAR)などさまざまなデータ形式に対応している。天候など異なる条件下で撮影された画像間の一貫性を保つための自動前処理機能も搭載している。 同社は、太陽光電池パネルや車両、船舶などの物体検出といった利用シーンを想定。都市部や農地、森林などの土地利用を自動で分類できることから都市計画や農業政策に応用できると説明。森林伐採や地図更新、農地の異常検知など時間に伴う変化検出にも活用できるとしている。 同社は今後、非画像データとの統合、大規模言語モデル(LLM)との連携も進めていくという。自然言語で「●年●日のシンガポール沖に船が何隻ある?」「東京都内の緑地面積の変化を過去5年分析して」などと指示するだけで、必要なデータ取得から解析、結果出力までを自動で進める機能を開発している。リアルタイム解析への対応も計画しており、災害監視や環境変化の即時対応など活用が期待できるとしている。
UchuBizスタッフ