【闘病】骨折から命を脅かす病に! 「骨髄炎」とは? 風邪と思っていたら…
病気を経験し、臨床心理士を目指す
編集部: 病気の前後で変化したことを教えてください。 えむさん: ヘモグロビンがとても少なくなり、何度も何度も数え切れないほど輸血をしました。輸血のパックには、どこの県の人の血液か書かれていて、ひんやりした血液が私の体に入る度に献血をしてくれている人へのありがたみを感じました。 私自身は何度も輸血しているので献血はできませんが、支えてくれた人たちに何か恩返しがしたいという思いから、心のケアを職とする臨床心理士を目指そうと思い、今、心理学が学べる大学に通っています。 また、家に1ヶ月半帰れなかったので、家族と一緒にいられる時間は当たり前のようで当たり前じゃないのだと強く実感しました。 編集部: 今までを振り返ってみて、後悔していることなどありますか? えむさん: 骨髄炎という病気は知らなかったものの、熱が出て苦しい時、「風邪」と自己判断して我慢せず、もっと早く受診しておけば良かったなと思っています。いつもと全然違うなと思ったら、ためらわずに受診するべきでした。 編集部: 現在の体調や生活はどうですか? えむさん: 骨折や骨髄炎の治療を全て終え、お世話になった市民病院への通院も終わりました。左足のリハビリテーションはまだ必要なので、月に1回大学病院に行っていますが、経過は順調でもうすぐリハビリテーションを卒業できそうです。 長く入院していたので高校生活は楽しめなかったけれど、今はやりたいことを沢山やれて、無理だと思っていたアルバイトや大学進学もできました。 編集部: 医療機関や医療従事者に望むことはありますか? えむさん: 「私の命を助けてくれてありがとうございます」と伝えたいです。私の治療に携わった先生のうち何人かは、異動などで治療が終わったころに直接お礼を言うことができませんでしたが、本当に感謝しています。 これからは患者としてではなく、臨床心理士として人を支えていきたいと思っています。 編集部: 最後に、読者に向けてのメッセージをお願いします。 えむさん: 骨髄炎になったことで「生きるって当たり前のようで当たり前じゃない」と教えてもらいました。そして、数え切れないほど手術を受けた私の体には、手術によって生まれた傷跡が沢山あります。 それは「私が頑張った証」だと思っています。この場を借りて、皆さんにお願いしたいことが2つあります。1つは輸血についてです。輸血用の血液が足りないということをよく聞きます。 私自身はもう献血はできませんが、輸血を必要としている人が今もたくさんいると思いますので、献血に行ける方はぜひ行ってほしいです。もう1つはヘルプマークについてです。私は手術の影響で現在も膝が悪いため、ヘルプマークを付けています。 もしどこかでヘルプマークをつけている人を見かけたら、席を譲ったり声がけしたりしてくださると嬉しいです。