「引退後、家族でゆっくり過ごす予定ですか?」質問に岡崎慎司の妻が話した答えは…家庭にもピッチの仲間にも“岡ちゃん”が愛されるワケ
僕はシンジに渡したことがあるんです!
では一体なぜ、あそこまで喜び、岡崎の元へと駆け寄ったのか。 それは、彼にとって岡崎が特別な存在だからだろう。岡崎はこのチームにやってきてから、カヤから声をかけられた。 「もちろん覚えていないでしょうけど、僕はアナタが出た試合のボールボーイをしたことがあるんですよ!」 カヤはマインツのユースでキャリアをスタートさせた選手なのだ。ドイツでは、クラブのユースの選手たちがボールボーイを務めることが多い。そして、カヤがそんな誇らしい役割を担っていたとき、マインツのトップチームのエースとして君臨していたのが岡崎だった。 カヤの記憶の解像度は高い。きっと、当時のエピソードを何度も自慢してきたからだろう。 「あれはフランクフルトとのダービーマッチだったんですけどね。僕はサイドラインから出たボールを拾って、シンジさんに渡したことがあるんです!」 センターフォワードの彼にとって、クラブ史上最多ゴールを決めた「記録の人」はアイドルだった。だから、「記憶の人」として岡崎は認識されている。
選手でたどり着けなかったところに、次のキャリアで…
シント・トロイデンをはじめ、日本人選手が多くプレーするベルギーリーグで、日本代表で多くの記録を残してきた岡崎がリスペクトを受けるのは当然だ。ただ、それ以外にも、カヤのように岡崎に憧れるサッカー選手が多いことを忘れてはならない。スペインでも小さなクラブであるウエスカでの奮闘を覚えている者はいる。 「記憶の人」として終わるだけの可能性があったなかで、ただひたすらに「記録」を残すために走り続けた。「記憶の人」としての生き方も、「記録の人」としての人生も、「両方ほしい」と考える貪欲なアスリートだからこそ、それは可能だったのだ。 引退後は指導者の道に進む予定だ。岡崎は晴れ晴れとした表情で断言している。 「『選手としてはたどり着けなかったところに、次のキャリアではたどり着きたい』という思いの方が強いです」 5月17日の現役最後の夜。20時45分に試合は始まったが、終わった後もすぐに休むことなどできなかった。一通りの取材を受け終わった後は、別れを惜しむファンたちに向けた簡単なトークショーと、サイン会を開いた。サインの際には求められる写真撮影にもすべて笑顔で応じていったので、24時半近くまで会は続いた。
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