前売り券まだ半分…今ひとつの大阪・関西万博機運、どう盛り上げるか
「多くの国々も期待している。素晴らしい万博を実現したい」。大阪府の吉村洋文知事は、開幕まで4カ月余りとなった2025年大阪・関西万博の開催地の長としての思いをにじませる。 【写真】万博会場の象徴となる「大屋根リング」 万博の準備・運営を担う日本国際博覧会協会によると、全体の工事進捗(しんちょく)率は約7割を超えた。心配された海外パビリオンの建設遅れは、万博の華となる独自建物「タイプA」で47カ国中46カ国が着工済み(11月29日時点)で、残り1カ国も近く着工が見込まれる。 一方、黒字運営のカギを握る前売り入場券の販売は11月27日時点で737万枚と計画の1400万枚の半分強にとどまる。コンビニエンスストアなどで紙チケットの販売も始め買いやすくしたが「かなりの部分は経済界が買っている」(松本正義関西経済連合会会長)のが現状だ。 一般の人が万博に行く気になる機運をどう作るかが課題。万博協会は9月中旬、米紙ニューヨーク・タイムズに歌手のAdoが万博開幕日に特別ライブを行う広告を出し、若者中心に会員制交流サイト(SNS)でも話題を集めた。ただ3月末に起こった工事中のガス爆発事故など万博のネガティブイメージは根強く、本来の中身を訴える活動は弱い。 万博の目玉は何か。会場の象徴となる全周約2キロメートル、最大高さ20メートルの世界最大級の木造建築物「大屋根リング」が8月、一つの輪につながった。万博のテーマ「いのち」を個々のパビリオンで表現する8人のテーマ事業プロデューサーも特徴的だ。その1人、アンドロイド研究者の石黒浩大阪大学教授は「太陽の塔並みに素晴らしいものにする」と展示内容に自信を見せる。一方、期待された“空飛ぶクルマ”の商用運航は会場で実現せず、デモ飛行となる。 万博は深刻化する環境問題など社会課題解決に役立つ未来技術実装の場でもある。大阪・関西の経済界も万博に深く関わり、日本発展の起爆剤となるレガシー(遺産)を残せるかが問われる。