東海大、“透明ラップ”の普及に力入れる 厚さ100ナノメートル、医療・産業用に
東海大学は、厚さ100ナノメートルの高分子ナノ薄膜「Myell(マイエル)」の普及に力を入れる。透明なラップフィルムのように貼り付け顕微鏡のカバーガラス代わりに使えるほか、傷口をふさぐなどの用途に役立つ。素材となる高分子の種類を切り替えれば産業用にも向く。 【関連写真】標本に貼り付ける(提供=東海大学) 16~18日に開催した医療機器の展示会「メドテックジャパン2024」に出展。同学マイクロ・ナノ研究開発センター所長の喜多理王理学部教授らが研究開発成果を解説。「基板上で生成した100ナノメートル厚の高分子膜をワンステップではがし、枠の中で保持できる」と特徴を語った。 ニコングループとの共同研究の成果と、東海大の特許技術を活用。喜多教授らが中心となって設立した大学発ベンチャー、チューン(神奈川県厚木市)が20年から販売を本格化。 表面に直径1マイクロメートルの穴を開けたタイプもあり、マイエルを貼った標本に試薬を注いで流動させず観察が可能。 外科手術後に縫合する代わりに薄膜を貼る、止血する、やけどを覆うといった使い道も研究している。 喜多教授は「薄型テレビやバッテリーなど薄膜はいたるところに使われる」とし、電池や電気回路など膜を有する産業用部品・製品への用途開発も行っていると明かした。
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