自社アイテムで名作映画の「概念コーデ」続々発信 「本気で笑いを取りに行く」アパレル会社…失職から始まった社長夫婦の怒涛の25年
突然の解雇 無職のまま出発した新婚旅行がきっかけでアパレルに飛び込む
ズーティーを立ち上げる前、浅野さんは神戸で官公庁やゼネコンの入札書類の図面作成などを行う会社の営業をしていた。現在のズーティー社長で夫の今石雄介さんとは、その会社で知り合った。 24歳の時、浅野さんは思わぬ形で社内の“権力闘争”に巻き込まれてしまう。心労が重なり退職したが、なんと婚約中だった今石さんまでもが解雇された。すでに結婚を決めていた2人。無職となったが「キャンセル料がもったいないから」と新婚旅行に出発。南国リゾート、ランカウイ島で途方に暮れながら、海辺でひたすらミネラルウォーターを飲んで過ごした。 「新婚旅行なのに、水を飲みながらぼーっと海を眺めているだけ。それ以外、あまり記憶が無いんです」 当時日本ではアジア雑貨が流行していたこともあり、2人はお世話になった人へのお土産にと、ランカウイで一番安く、かつ高価に見える雑貨を選んだ。帰国後、親戚から「いい物件があるから、何か店でもやってみたら?」と紹介される。「アジア雑貨ならできるかも」 1999年に、神戸・三宮でアジア雑貨店を開いた。シルクのストールやバティックなどの服飾も扱った。 まもなくネット販売を開始。自分たちで一からサイトを構築した。実店舗だけではまだ苦しく、当時、店はアルバイトに任せて浅野さんは派遣で、夫は経理のアルバイトをして生計を立てていたという。やがて韓国へも買い付けに行くようになった頃、国内のメーカーが営業に訪れるようになった。 「それまで自分たちで仕入れ、販売することしかやってこなかったので、メーカーから商品を仕入れるということも知らなかった。今考えると、何も知らなさすぎましたね」 2002年に楽天市場にも出店。仕事は多忙を極めたが、その中で浅野さんは1人目の子どもを出産した。「寝る間もなかったけれど、無我夢中で楽しかった」とあっけらかんと振り返る。 2005年には、実績や人気が評価された店舗に贈られる楽天市場のショップ・オブ・ザ・イヤーを初受賞するまでに成長。以来1、2年ごとに受賞を重ねている。