25年もスエズ運河航行回避が継続か・・・25年は若干軟化。コンテナ船市況
国際海運団体BIMCO(ボルチック国際海運協議会)はこのほど、2025年のコンテナ船市況見通しをまとめた。25年については、スエズ運河の航行回避が継続することを想定。24年は喜望峰経由での航行距離延長で需給が引き締まったが、25年は船腹需要の低下で需給バランスが緩和。運賃市況は25年、前年を若干下回るが、船腹需給の悪化から、26年に大幅下落すると見通す。 BIMCOによると、24年は船腹供給量が12%増加するのに対して、船腹需要が18―19%増加し、需給が引き締まった。 特に通常スエズ運河を航行する船腹量の90%が喜望峰経由となったことで、船腹の供給量が吸収された。一方で、航行ルートが正常化した場合の供給増加を懸念事項とする。25年の需給関係は前年比で若干軟化するが、26年には需要減少を背景に大幅な供給過剰になる可能性が高い。 24―26年のコンテナ船船腹需要・供給見通しはグラフの通り。 BIMCOでは19―26年で船腹供給量は46%増加するが、船腹需要は22%しか増えないと見通す。 減速運航が供給を吸収しているものの、スエズ運河の航行が再開すれば、需給関係はコロナ禍前の19年より悪化するとみている。スエズ運河航行回避の動きは25年通年で影響を与えるが、26年には航行正常化に向かうとしている。 24年荷動きの成長率は5・5―6・5%と推定される。25年には3―4%、26年には3・5―4・5%の成長が予測される。 特に南アジア・西アジアや中南米での輸入量の増加が見込まれ、西アジアの石油輸出国の経済成長や、アルゼンチンの不況からの脱却がこれらの地域への需要を押し上げる要因となりそうだ。 解撤量を差し引いた、24年のTEUベースでの船隊増加は280万TEUで、単年の拡大規模としては過去最高となった。 24年末時点での発注残は800万TEUで、既存船隊の26%に達する。特に27―28年の引き渡しは、25―26年を上回る見通しだ。また、発注残の78%が代替燃料対応可能で、うち3分の2がLNG(液化天然ガス)、3分の1がメタノール対応となっている。 市況への不確定要素としてはスエズ運河の状況のほか、米トランプ新政権が掲げる、輸入関税引き上げを挙げる。 生活コスト上昇、輸入量減少につながり、中国など貿易相手国による報復も世界経済への打撃となる。また、米東岸港湾労使交渉は自動化に関する話し合いが難航しており、労組によるストライキと混雑発生の可能性も指摘する。
日本海事新聞社