医師が教える、要介護にならない人の「朝の習慣」元気に長生きできる食事術
医療技術が発達し、平均寿命がどんどん伸びている近年。でも、元気に長生きできる人もいれば、介護が必要になってしまう人もいます。90歳まで元気に長生きするには、食生活がとても大切。そこで今回は、佐賀県の女性の健康寿命全国1位に貢献した鎌田實医師による著書『医師のぼくが50年かけてたどりついた鎌田式長生き食事術』(アスコム)から、元気に長生きできる食生活のヒントを少しだけお届けします。 ◇ ◇ ◇
“要介護”にならないために! たんぱく質いっぱいの生活=「たん活」をしよう
40歳を過ぎると、毎年1%ずつ筋肉が減っていくといわれています。そうなると怖いのが、フレイルです。 フレイルとは、筋肉のおとろえにより心身の働きが弱くなった「虚弱」の状態で、 歳以上の8.7%がフレイル、40.8%がプレフレイル(フレイル予備軍)というデータもあるほど身近な症状(※)。じつに、65歳以上の方の半分が、筋肉に不安がある状態なのです。 フレイルを放っておけば、要介護へまっしぐら。とくに女性はフレイルの割合が高いため、筋肉の材料であるたんぱく質を積極的にとる必要があります。 たんぱく質をしっかりとること、すなわち「たん活」は、鎌田式食事術の基本にして極意。とくに、朝のたんぱく質は効率よく筋肉に変わってくれます。ぼくはこれを「朝たん」と名づけ、全国に広めていきたいと思っています。 ■筋肉の長生き 3大原則 1.朝のたんぱく質で 「朝たん」生活 2.たんぱく質は1日に体重×1.2g 3.たんぱく質は3食+αで「こまめに」とる
筋肉を増やす朝たん生活におすすめ! 鎌田式みそ玉
一度に体に吸収できるたんぱく質の量は限られています。だから、やみくもにたんぱく質をとっても、邪魔なものとして体の外に排出されてしまいます。大切なのは、3食の中でバランスよくたんぱく質をとること。とりわけ重要なのが、朝のたんぱく質、略して「朝たん」です。 高齢女性を対象とした調査では、夕食よりも朝食にたんぱく質を多くとった人のほうが、骨格筋指数や握力が高いという報告があり、これには体内時計がかかわっていると考えられています。だから、朝食抜きというのが一番いけません。 ところが、日本人の3食のたんぱく量の割合は、若者から大人まで、夕食がもっとも高く、朝食はその半分程度。この朝と夜のたんぱく量の割合を逆にするだけで、効率よく筋肉をつけ、フレイル予防につなげることができます。 朝たんの最強の味方は、やっぱりみそ汁。ぜひ「鎌田式みそ玉」を活用してください。鎌田式では、たん活に効くサバ缶やチーズ、野菜を入れて具だくさんのみそ玉にするのがポイント。毎朝お湯を注ぐだけでみそ汁が完成。ぼくはこのみそ玉を、とにかくいそがしい朝の食事に革命を起こす秘策だと思っています。 たんぱく質だけでなく、朝食の量を全体的に増やして、朝食・昼食・夕食のバランスは4:4:2が理想的。せめて4:3:3は目指しましょう。 あるテレビ番組で、ぼくが「朝たん生活」と言ったら、出演者の方からすごく好評でした。これからは、全国に「朝たん」を伝えていきたいと思っています。