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いよいよ今週に迫ったプロ野球のドラフト会議。ドラフトは、各球団のスカウトが、1年間全国を駆けずり回って選手を見てきた努力の集大成。今年は一体どんなドラマが生まれるのか。 【一覧】プロ野球「最も愛された監督ランキング30」最下位は、まさかの… 2006年に希望枠などの逆指名制度がなくなり、より各球団の編成力が問われるようになった近代ドラフト。昨今のペナントレースの順位は、過去の指名選手の活躍の度合いに直結すると言われるほど重要な一日である。 過去に6年連続最下位と歴史的な低迷を続けていた横浜ベイスターズもまた、2012年にDeNAベイスターズとなって以来、ドラフトでチームを劇的に建て直してきた。優勝こそないながら、CSに初出場した2016年以来、9年間で6回、現在まで3年連続のAクラスと安定した成績を収めている。 現役時代はV9巨人の二番手捕手としてチームを支え、引退後は巨人で編成部長。横浜DeNAベイスターズとなった2012年から、GM高田繁氏の招聘でスカウト部長を務め、その後、GM補佐、スカウト顧問などを歴任しながら、焼け野原だったDeNAベイスターズの再建に貢献した吉田孝司氏に、ドラフトの真髄について話を聞いた。

一番大事なことは生でその選手を見ること

「もう現場を離れて4年になるかね。僕がベイスターズにいたのが2012年から2020年まで。今でも当時のスカウト連中とは、たまに会って話すんだけどね。時代やチームが変われば事情も変わる。スカウトもやり方が変わってきてはいるんでしょうね」 ――選手のスカウティングは目利きとも言われていますが、スカウティングに王道やセオリーみたいなものはあるのでしょうか。 「そうだねぇ……まぁ、選手のスカウティングにセオリーはあるようで、ない。そして、なさそうだけど、実はあるんだと僕は思っている」 ――謎かけのようですね。 「それはもう、本当に難しいよ。基準となるのは野手なら肩と足。それは天性のものだからね。当然、身体は大きいほうがいい。大きいエンジンを積んでいたほうが出力は高いし、将来的に長持ちもするからね。そういう基準はある。だけど身体が小さいからって決して劣るわけじゃない。今メジャーで投げている今永昇太なんてね、大学の時はすごかった。あの腕の振りと、ボールの回転。フォームのバランスの良さに馬力もあってね。誰が見たってドラフト1位の素材だった。 でもそういう選手ばかりじゃない。スカウトで一番大事なことは生でその選手を見ることだよ。これが基本にしてすべて。観察して、いかにしてその選手のいいところを見つけてやれるかどうか。あとはチームの欠けている部分にどれだけ当てはまるかだよね。指名する選手は、担当スカウトに僕と高田さんと、必ず生で見た。それでいいねとなった選手だけを指名した」