年間200万人がアルコール依存を治療―依存者にセカンドチャンス与える米国
始めるとなった場合の期間や料金
National Institute on Drug Abuse (NIDA)によると、米国には依存症の回復センターが1万4500以上あります。リハビリ期間は30日、60日、90日が一般的です。 さまざまな調査から、リハビリ期間は長ければ長いほど、そして滞在型の方が良い結果につながりやすいことが証明されていますが、「その日その日を(依存せずに)過ごす」ことが回復の一歩であること、コミットメントしやすいこと、少なくとも離脱症状期間を乗り切れること、そしてリハビリの最小限期間として推奨されているため、保険が効く場合がほとんどであることなどから、30日間のプログラムをとにかく始めることの意義を指摘する専門家もいます。 保険の話が出てきたところで気になるのが、依存症治療のお値段ですよね。American Addiction Centersによると、典型例として「インタベンション」が2500ドル(+経費)、民間のモニター付きデトックスが1日500~650ドル、滞在型リハビリ施設で1日500~650ドル、通院型で1日250~350ドル、アフターケアプログラム(後述)が月1500~2500ドルと、「それでセレブ以外にいったい誰がこれ払えるの?」という数字が並んでいます。 そこでまず考えられるのが保険です。「Affordable Care Act」(通称オバマケア)によって、すべての保険プランが依存症、メンタルヘルスの医療サービスをカバーするよう義務付けられているので、保険を持っていればこれを活用できます。が、受けられるリハビリの種類や施設、期間はプラン規約によって制限されることになります。ほかに、クレジットカード等より利子率がかなり低いリハビリ向けのローンを組んで支払う手もありますが、下りるかどうかは個人のクレジットスコア(信用偏差値)次第です。 また、National Survey of Substance Abuse Treatment Serviceによると、リハビリ施設の62%が「スライディングスケール」を採用しているそうです。これは、個人の支払い能力にそって支払額を決定する制度。こうした施設は代わりに税金控除や公的援助を受けていることもあれば、非営利団体あるいは慈善団体であったりします。 政府による公的援助についてはどうでしょうか。「依存症と各州の役割」という2015年の調査によると、1986年には90億ドルだった公的援助額が、2020年までに420億ドルに達すると予想されており、割合も自費や民間保険による支払いを大きく上回っています。総コストの3分の1を賄っているのは州政府や自治体です。ほかに高齢者・障がい者用のメディケア、そしてオバマケアを通じて依存症治療と回復サービスのカバーが義務付けられた低所得者用のメディケイドなどがあります。