<わたしたちと音楽 Vol.31>家入レオ×加藤ミリヤ 影も歌に乗せる、内面を開示するというエンパワーメントの方法
米ビルボードが、2007年から主催する【ビルボード・ウィメン・イン・ミュージック(WIM)】。音楽業界に多大に貢献し、その活動を通じて女性たちをエンパワーメントしたアーティストを毎年<ウーマン・オブ・ザ・イヤー>として表彰してきた。Billboard JAPANでは、2022年より、独自の観点から“音楽業界における女性”をフィーチャーした企画を発足し、その一環として女性たちにフォーカスしたインタビュー連載『わたしたちと音楽』を展開している。 今回ゲストに登場したのは、加藤ミリヤと家入レオ。二人は、2024年2月8日に開催される【Billboard JAPAN Women In Music vol.2】で、東京フィル・ビルボードクラシックスのオーケストラをバックに力強い歌声とメッセージを届ける。同じシンガーでありながら全く異なる表現でリスナーを勇気づけてきた二人、共通点は自分の内面を掘り下げて音楽に昇華しているところだ。対談でもそれぞれが胸の内を明かし、ステージに向けて良い刺激を交換し合った。
初対面の二人に共通する、内面を掘り下げるという表現方法
――【Billboard JAPAN Women In Music vol.2】のオファーを受けた感想と、意気込みをお聞かせください。 加藤ミリヤ:このライブの目的である“女性のエンパワーメント”は、私が活動を通して使命感を持ってずっと大切にしてきたもの。お声がけいただけて嬉しかったですし、ステージにどういう気持ちで立つかもすぐイメージできました。TOKYO DOME CITY HALLという会場でオーケストラのセットと一緒にやるのは初めてですし、家入レオさんと一緒にできるのもスペシャルですし、より広がりのあるステージが作れるんじゃないでしょうか。 家入レオ:私たちは今回「はじめまして」なのですが、お相手が(加藤)ミリヤさんだと聞いたときには驚くと同時にとてもうれしかったです。私は中高大一貫の女子校に通っていたのですが、当時のクラスメイトもみんなミリヤさんの歌に心を傾けていました。まさか自分がご一緒する日が来るなんて、すごく光栄です。 加藤:家入さんは、私より歳下かな。フレッシュで素晴らしい歌声を持つアーティストだと認識していましたし、自分のパーソナルな部分をディグして曲を作るスタイルは私たちの共通点なのかなと思いました。そうやって自分自身のダークサイドをシェアできる人のことに親近感があるんです。 家入:ありがとうございます。やっぱり恋をしたり、人を想う経験は傷つくことが大前提ですよね。自分の魂が幼いときにはその傷に耐えられなくて、そこからまた歌が生まれたりもする。歳を重ねるにつれて経験も増えていくと、傷も含めて人を愛することだと理解できるようになる。そういう女性自身の心境の変化や成長を、歌を通して伝えたいと思っています。学生時代に聴いたミリヤさんの「Aitai」という曲も、こうして大人になって改めて聴いてみるととてもフレッシュで、今ミリヤさんが書いていらっしゃる歌詞ともまた違う心境なのがわかります。そんな風にして歴史を重ねている女性アーティストは、素敵ですよね。