<わたしたちと音楽 Vol.31>家入レオ×加藤ミリヤ 影も歌に乗せる、内面を開示するというエンパワーメントの方法
若いときの自分たちに伝えたいのは「もっと自由に」というメッセージ
家入:人間って、実際みんな弱いと思うんですよね。男性と女性は心の部分は平等だけど、どうしても体の作りが違う。その違いによる向き不向きなどが影響して、女性が家庭内に押し込められて弱い立場に追いやられてしまった時代もありました。その置かれた環境で、「私ってかわいそうだな」と思いながら生きるのも、「かわいそう」と言われたくないから強く生きるのも、どちらを選ぶかは自分自身。ミリヤさんはどんな状況に置かれても使命感を持って、自分を信じて歩いてこられた本当に強い人なんだなと思いました。私は、「向いてないな」と思って音楽をやめようと思ったこともあったんですよ。その時、絵本が好きなこともあって、保育園でお手伝いをさせてもらったんです。でもそうやって別の世界に飛び込むと、自分の置かれた環境を客観的に見る事ができて。「やっぱり歌が好きだ」と戻ってきてしまいました。向いてるか向いていないかはわからないけれど、好きだという気持ちは偽れなかったんです。 ――家入さんのように活躍していても、そうやって悩んだことがあったのですね。では、キャリア1年目の自分にアドバイスを送るとしたら、なんと声をかけますか?特に加藤さんは、弱冠16歳でデビューしていますが、どんなことに悩んでいたのでしょうか。 加藤:キャリア1年目の自分は、今の100倍くらい強気な女って感じでした(笑)。経験や実力が伴っていない、無知故の強気でしたね。でも、声をかけるとしたら「もっと気にしないでいいよ」でしょうか。今と違ってSNSも盛んじゃなかったし、その意味でももっと生きやすかったのかもしれないのですが、強気ではあるけれど「さすがに怒られるかな」と周りを気にしている部分もあった。でも、「もっとやっちゃえ!」って言いたいかな。 家入:そうですね、私は自分の世界観をどうやって守るかに必死になっていました。優しさで言われていることも、自分を否定されている気がして怖かったんです。今は、外からの刺激があるからこそ自分の世界を広げられると思っているから、「どんどん言ってください」って感じなんですけど……でもああやって守ってきた時期があるからこそ、のちのちの出会いも楽しくなる。変に大人びなくていいし、怖かったら守っても良い。「嫌なことがあったら、“何が嫌か”を噛み砕いてその気持ちを外に出していこうよ」と当時の自分に伝えたいです。