「電話のかけ方がわかりません」内線すらかけられない若者も…電話恐怖症を量産している「雑談の減少」ともうひとつの理由
『電話恐怖症』#2
かつては日常頻繁に使われるコミュニケーションツールだった電話が、今では退職理由になるほどの厄介者扱いになっていることをご存知だろうか。スマホでメッセージは気軽に送れるのに、電話で話すことには、どうしてここまで「苦手」な人が増えてしまったのか。 【画像】30代以下の保有率は1割以下になったコレ 『電話恐怖症』 (朝日新書) より、一部抜粋・再構成してお届けする。
雑談の減少が「電話が苦手」の原因?
私が受ける相談でも「誰とも話さずに家にずっといて、いざ話をしようとする際に言葉が出てこない」というものが目立つようになりました。 話そうと思っても、言葉が出てこない。もっと深刻になると、声が出ないというのです。 コロナが明けて、オフィスワークに戻っても、その状況はつづいているように感じます。昔のオフィスはもっとざわざわしていて、あちこちでおしゃべりしている声が聞こえました。 仕事の帰りもみんなでどこかに寄ってにぎやかに楽しむ雰囲気があったように思います。 しかし今は仕事中、人と会話することが少なくなっています。 マルチタスクがふつうになって、人と話す余裕がないのもひとつの要因ですし、さまざまな働き方が増えてきて、職場にいる人がしょっちゅう変わるのも、会話が減った原因かもしれません。 マスクをして、私語を控え、個食や黙食の推奨も尾を引いていると思います。 とくに雑談が顕著に減っています。 誰かと話すときはチャットを使う。それこそ隣の席の人間にチャットで話しかけるといったことがふつうに起きています。 困ったことに、雑談が少ない職場は問題が起こりやすいというのが実際の体験からもわかっています。 人間関係でトラブルがある会社にリサーチに行ったとき、「うちはペンが落ちる音が響くくらい静かです」と言われて合点がいったこともあります。 ペンが落ちる音が響くということは、誰もしゃべっていないということです。しーんと静まりかえっていれば、話したくても話せない。みんなに聞こえてしまうので、こわくて話しかけることもできないでしょう。 すると職場でも一日、ほとんど人と話さない。在宅勤務で言葉が出てこなくなるのと同じ現象がオフィスでも起きているわけです。 となると、電話で話すなど、とんでもなく高いハードルに感じられます。電話が苦手な人が増えるのはいたしかたないといえます。