ドラッカーが説く、企業の「第一の責任」とは?経営者が財務会計を理解しなければならない本質的な理由
商社とか小売業は、集めてきたお金を商材に投資します。そして、その商材を販売して利益をあげます。私のような執筆業は会社を興すときにほとんどお金が要りません。しかし、私も事務所を持っていますし、事務所には大きな本棚を置いています。わずかばかりのお金ですが、それを事務所や本棚に投資して、それらを使って利益をあげているのです。 この[お金を集める]→[投資する]→[利益をあげる]という3つの活動は、すべての企業に共通する活動です。このすべての企業に共通する3つの活動を、「財務3表」 と呼ばれるPL(損益計算書)・BS(貸借対照表)・CS(キャッシュフロー計算書)で表しているのです。 BSは前ページの図表3-1のように、真ん中に線が引いてあって左右に分かれています。なぜ、左右に分かれているかというと、図のように、BSの右側には会社が「いままでにどうやってお金を集めてきたか」ということが記載されていて、BSの左側には「その集めてきたお金が何に投資されたか」が記載されているのです。そして、図の一番左のPLで「1事業年度にどのように利益をあげたか」が計算されているのです。 このBSとPLの中には、日本では円単位の数字がズラーっと並んでいます。円単位の数字が並んでいるのですが、このBSとPLの中の数字は必ずしも現金の動きを表す数字ではありません。売掛による売上、買掛による仕入、はたまた減価償却費など、現金の動きを伴わない数字が入っているからです。 私たちは子供のころから、円単位の数字が並んだ表は収支計算書しか見たことがありません。お小遣い帳も家計簿も収支計算書です。その中にある数字は、現金がいくら入ってきて(収入)、いくら出ていったか(支出)という現金の動きを表しています。 やはり、企業も1事業年度にどのような現金の出入りがあったかがすぐにわかるようにしておいた方がよいということで、日本では西暦2000年からCSの作成が義務づけられました。CSは “Cash Flow Statement” の頭文字をとったものです。この英語をそのまま日本語に訳すと、「現金・流れ・計算書」ということになります。そうなのです。このCSこそが、現金の流れを表す収支計算書なのです。
國貞 克則