“ヤングなでしこ”で東京五輪へ。加速させる世代交代
今春に通信制の星槎国際高校(湘南学習センター)を卒業した宮澤には、なでしこリーグで3連覇中の名門、日テレ・ベレーザでサイドアタッカーのレギュラーを獲得した武器を存分に発揮してほしいとエールを送った。 「スピードとドリブル突破で非凡なものを見せますし、テクニックが高く、ドリブルからシュートにもち込む武器もある。それらを前面に出して戦ってほしい」 ワールドカップのグループリーグ2戦目からレギュラーに定着。ドイツとの準々決勝、イングランドとの準決勝で連続ゴールを決め、アシストも5つマークした遠藤にはその左足に期待を込める。 「彼女は左利きで、独特なドリブルからシュートにもち込む形は非常に素晴らしいものをもっている」 約8年3ヵ月にわたる長期政権を築き、なでしこジャパンを2011年のワールドカップ制覇、2012年のロンドン五輪銀メダル、2015年のワールドカップ準優勝へ導いた佐々木則夫前監督からバトンを引き継いだのが2016年4月。高倉監督は来年6月にフランスで開催される次回ワールドカップの予選を兼ねた、4月のAFC女子アジアカップを最初のターゲットにすえてきた。 果たして、8大会連続となるワールドカップ出場権を獲得し、さらにアジアカップ連覇も達成。8月にインドネシアで開催されたアジア競技大会でも2大会ぶり2度目の優勝をもぎ取ったが、その間にアメリカで開催された4ヵ国対抗では現時点における世界との差を痛感させられた。 初戦でアメリカに2-4で完敗を喫すると、2戦目でもブラジルに1-2で敗れた。最終戦ではアジアカップ決勝で下したオーストラリアにも苦杯をなめた事実を踏まえながら、高倉監督はノルウェー戦を残す2018年をこう総括している。 「2つの優勝は自信になりましたけど、まだまだこのままでは世界で通用しない、ということを共有できたのも財産になりました」 だからこそ、ワールドカップイヤーへとつながる今年の最終戦で、チームを活性化させるための種をまく必要があった。新戦力が突き上げ、既存の選手たちが抗うことで成長へつながる新陳代謝のうねりが生まれる。 男子の森保ジャパンで言えば中島翔哉(ポルティモネンセSC)や南野拓実(ザルツブルク)らに当たるのが、世界一を知るヤングなでしこの4人となる。 「彼女たちのパフォーマンスをずっと追いかけてきましたけど、優勝したワールドカップの出来は非常によかった。フィジカル的にも恵まれた選手が多いので、なでしこジャパンにちょっと慣れれば十分にやっていけるのでは、という思いもある。競争がチームを強くしますし、伸びそうな子は積極的に使っていきたい。我こそは、という子が出てきてほしい、とも思っています」