radikoプレミアム会員数100万人突破!最近、ラジオが熱い。〈出る側初心者〉が見たラジオの現場について
◆パンダのシャンシャンの気持ちがわかった 勉強と、深夜の風呂独り言トレーニングを経て、ゲスト出演にも慣れてきた。思えばラジオは運転中のカーステレオや、自宅のコンポでよく聴く、憧れであり、友達だった。お気に入り番組は『オールナイトニッポン』(ニッポン放送)や『JET STREAM』(TOKYOFM)だ。その末端に関わることになろうとは、世の中何が起こるのかわからない。 その生活に慣れ始めた頃、スタジオでふと気づいたのが、スタッフさんたちによるゲストへの必死な気遣いだ。生放送中、ブース内はテーブルに2名のパーソナリティーさんが向かい合わせで座り、お誕生席が私の位置。 その位置からは防音ガラスを経て、ミキシングを行う“サブコン”というスペースにいるスタッフさんたちが見える。皆さん、私が話している間は5~10人がこちらを笑顔で見つめて(聞こえないけど)エールを送ってくれる。爆笑風だったり、指を刺しながら「いいよ! いいよ!」と口パクをしたり、拍手をしたり、こちらの写真を撮っていたり。リアクションはそれぞれだけど、とにかく楽しそうに皆が私を見ている。 (……私の話が途切れないように盛り上げてくれているんだな~……) ありがたいと思いつつ、時にはオーバーリアクションのスタッフさんに吹き出しそうになる。そんな様子を眺めていると、自分が動物園に展示された動物になった気分に……。確か上野動物園のパンダゾーンも防音ガラスを隔てて、お客さんがいたはず。シャンシャン、毎日こんな気持ちだったのか。
◆ラジオは1人に語りかける ラジオ放送のゲスト出演は、Zoomで行われることもある。主に地方局に呼ばれた場合に用いられるパターンだ。自宅や出版社の会議室などで行うことが多い。 これが寂しい。 関東のラジオ局のように、防音ブース越しに全力応援してくれるスタッフさんもいないので、たった1人で盛り上がるしかない。画面越しに話すパーソナリティーさんも遠さを感じる。 こんなときはいつもSNSで番組ハッシュタグをチラ見しながら、トークに臨む。ラジオ今昔の決定的な違いは、ハガキ職人にならずともメールやSNSを通して、直接番組に参加できることだ。これが地方から遠く離れて東京から参加している私にとっても、リアルタイムでリスナーさんと距離を縮められる1つの手段になっている。 そんな方法を使いながら、現在、私は2月のマンスリーゲストとして『K-MIX GOOD-TIE!』(K-MIX 静岡エフエム放送)に、週に1回20分ほど出演している。“毎週”というタイムテーブルが私に及ぼす影響は大きかった。放送回を追うごとにメッセージの数も増えて、話す側も聞く側もボルテージが高まっていくのを実感。ラジオに関わることの醍醐味だと思う。 「木曜日は、マンリスーゲストをお迎えしてお届けしています。今月は、皆さんと一緒に“ドラマ”の魅力に追っています。ご登場いただくのは、浜松出身のコラムニストで、編集者の小林久乃さんです。よろしくお願いします!」 このプチ熱狂のおかげで、最終ゲスト回には私が静岡県浜松市のスタジオまで出向くことになった。アナウンサーの鈴木愛実さんと、テレビドラマについて今までの20分間よりも長めに話す予定だ。彼女とも毎週、顔を見て話していると、姪っ子のように愛着がわいてくるから不思議だ。ひょっとしたら、最近ご無沙汰のオキシトシンホルモンが出ているのだろうか。ありがとう、まなみん。 と、今回はラジオの現場から、お届けした『映えのたからない生活』。改めて思うのが、ラジオは1人に語りかけてくれる、心寒くなる中高年にとって強い味方だ。これを表すようにradikoプレミアム会員数は100万人を突破、40~50代の会員が中心と聞く。エッセイを読み終えたら、ぜひ耳から始まるコミュニティーへどうぞ、いってらっしゃいませ。
小林久乃