「この人が政治家なら、私たちがやったほうがいい?」政治分野のジェンダーギャップ解消のために
個人がモヤモヤしていることって、実は社会の問題で、政治の問題でもある
――20代・30代の候補者を増やし、「地方議員の女性比率をまずは3割に」という目標を掲げて活動されていますが、政治にあまり関心を持っていない人たちに向けた情報発信で意識されていることはありますか? 能條さん: やっぱり人って楽しいもの、希望を感じるものに集まってくると思うんですね。話を簡単にしようとは思っていませんが、「やったら変わるよね」「やらないより、やったほうが楽しいよ」みたいな明るいトーンを意識しています。それから、人を動かすためには上から目線じゃなくて、同じ目線で話すことが必要じゃないかとも思います。もちろん、当たり前のこととして、できるだけ人を傷つけたくないということも考えています。 ――そうした希望や明るい方向に目を向けるために、一歩進みやすくなるようなヒントやキーワードなどがあれば、ぜひシェアしていただけますか。 能條さん: 「No one is free until we are all free.」というマーティン・ルーサー・キング(公民権運動の先駆的リーダーの一人)の言葉があるんですが、これは「みんなが自由になるまでは誰も自由になれない」ということ。 私は、社会の変化は個人のモヤモヤから始まると思っていて。一人一人がモヤモヤしていることって、実は社会の問題だし、政治の問題でもあるんですよ。「自分で解決しなきゃ」とか「自分がうまくやらなきゃ」って思いがちだけど、それはあなたのせいだけじゃないということがまずひとつ。 ――いわゆる「男らしさ」「女らしさ」といった性別に基づく社会規範や男女の賃金格差、緊急避妊薬や人工妊娠中絶への限られたアクセスなど、モヤモヤする原因をたどっていくと、社会構造の問題にたどりつくことが多いですよね。 能條さん: そうなんです。FIFTYS PROJECTが目指す「ジェンダー平等な社会」は、性に基づく差別や搾取、抑圧がない状態です。そして、そうした差別や搾取、抑圧は個人の問題ではなく、政治的につくられた構造的な問題であるという認識がすごく大事だと思っています。 構造の問題を、個人対個人の問題にしていても解決しませんよね。もちろん、加害してくる相手に対して怒ることは必要だけれど、私たちが戦うべきは「男性」ではなくて「性差別」であり「家父長制」なんだという理解がもっと広まるといいなと思っています。