「この人が政治家なら、私たちがやったほうがいい?」政治分野のジェンダーギャップ解消のために
いい政治をしてくれる政治家を育てるのは、私たち有権者
――大切なのは、みんなで社会の構造に目を向けて、変えていくことですものね。 能條さん: 本当に。あとは数字でいうと、首長(くびちょう:都道府県知事や市区町村長)の女性比率もキーワードになると思います。ちょっとずつ増えてはいますが、2021年の時点で女性の都道府県知事は4.3%、市区町村長は2.3%というすごい低水準で。 これは余談ですが、今から45年前に大平正芳首相(当時)の「女性は家庭の中のオアシスであります」という国会答弁に拍手が起きました。当時は女性だけが家庭科の授業を受けていて、まだ男女雇用機会均等法もなかった時代。そう考えると、今から50年たてばさすがに状況は変わっているだろうし、首長や議員の女性比率は普通に50%を超えていてほしい。そうなったら、自分たちがやってきた意味もあるなと思える気がします。 ――「個人的なことは政治的なこと」という言葉もありますが、日本の国政選挙の投票率は50%前後で、地方選挙ではもっと低いケースも珍しくありません。 能條さん: これから日本は経済的にも縮小していくだろうし、外国との関係の中で戦争のリスクもあると思うけれど、その中でヒーロー待望論というか「誰かがどうにかしてくれる」みたいな気運が高まっていくことへの怖さを感じています。 政治家と国民って、鏡のような存在だと思うんです。デンマークに留学していたとき、「いい政治家がいないのは、いい国民がいないということではないか」と言われてハッとしました。いい政治がなされるには政治家の役割が大事だけれど、その政治家を育てるのは私たち有権者です。だから、一人一人が考えていかなきゃいけないし、それぞれができる範囲で政治に参加していくことにすごく価値がある。その必要性を感じるからこそ活動を続けています。 FIFTYS PROJECT代表 能條桃子 2019年に若者の投票率が80%を超えるデンマークに留学し、若い世代の政治参加を促進する「NO YOUTH NO JAPAN」を設立。Instagramで選挙や政治、社会の発信活動をはじめ、若者が声を届け、その声が響く社会を目指して、アドボカシー活動、自治体・企業・シンクタンクとの協働などを展開。活動を続ける中で同世代の政治家を増やす必要性を感じて「FIFTYS PROJECT」を立ち上げる。『TIME』の「次世代の100人 2022」選出。「アシタノカレッジ」(TBSラジオ)、「堀潤モーニングFLAG」(TOKYO MX)出演中。 画像デザイン/坪本瑞希 前原悠花 構成・取材・文/国分美由紀