習近平は「準備万端」か…「第三次世界大戦」が起こる確率は…米軍トップが明かした「意外すぎる」実情
「安全保障を専門とするジャーナリストとして20年以上活動してきた中で、 今ほど戦争の危機を感じる時はありません。」 【写真】「実は核兵器つくれる」日本… 知らぬ間に「米国のミサイル基地」と化している日本の現状に、 安全保障の専門家たちが一斉に警鐘を鳴らす! 石破茂政権に注目が集まる「いま」こそ知っておきたい、 日米安保をめぐる「衝撃のウラ側」が、 『従属の代償 日米軍事一体化の真実』で明らかになる。 ※本記事は布施祐仁『従属の代償 日米軍事一体化の真実』から抜粋・編集したものです。
米中戦争の危険性はどれくらいあるのか?
2023年11月に100歳で逝去したヘンリー・キッシンジャー元米国務長官は同年5月に英誌『エコノミスト』に掲載されたインタビューで次のように述べて、米中の軍事衝突によって第三次世界大戦が起きる可能性があると警告しました。 「我々は今、典型的な第一次世界大戦前の状況にある。(米国と中国の)どちらの側にも政治的譲歩の余地があまりなく、均衡がわずかでも崩れれば破滅的な結果を招きかねない」 特に、台湾問題のように双方の「原則」が絡む場合は政治的譲歩が難しく、軍事衝突に至る危険性が高いと指摘しました。 やはりキッシンジャーも、第三次世界大戦の「発火点」になる危険が最も高いのは台湾問題だと考えていたのです。 それでは、台湾をめぐって米中戦争が勃発する可能性は、実際のところどれくらいあるのでしょうか。 米インド太平洋軍の司令官は2021年3月、「2027年までに中国が台湾に侵攻する可能性がある」と発言しました。 しかし、この分析は必ずしも米政府内で一致したものではありません。
中国による台湾侵攻まで「まだ道のりは長い」
同年6月17日、米軍トップのマーク・ミリー統合参謀本部議長は米上院歳出委員会の公聴会で、「中国による台湾侵攻が近い将来起きる可能性は低い」と証言しました。 ミリーは「台湾は未だ中国の核心的利益である」としつつも、「中国が台湾全体を掌握する軍事作戦を遂行するだけの本当の能力を持つまでには、まだ道のりは長い」と指摘しました。 ミリーはこの1週間後にも下院軍事委員会の公聴会に出席し、「習近平主席と軍部は(武力による台湾の統一は)コストが利益をはるかに上回っていると計算するだろう。あれだけの人口と防衛能力を備えた大きな島を侵攻し占領するのには、大きなコストがかかることを彼らは知っている」として、侵攻がすぐに起きるとは考えていないと改めて表明しました。 米インド太平洋軍司令官が2027年までに中国が台湾に侵攻する可能性があると発言した理由についても、ミリーは次のように説明しました。 中国は2017年の第19回中国共産党大会において、2035年までに国防と軍隊の近代化を基本的に実現するという目標を設定していました。それに加えて、2020年10月に開かれた党中央委員会全体会議で、中国が「(人民解放軍の)建軍100年」とする2027年までに「機械化・情報化・智能化の融合的発展を加速させる」などの「奮闘目標」が新たに設定されました。米インド太平洋軍司令官は、この動きを踏まえて、2027年までに台湾侵攻が起こり得ると発言したというのです。 ただしミリーは「習近平主席は台湾を占領する能力を開発するための軍の近代化計画を加速するよう求めたが、それは能力のことであり、実際に侵攻や占領を行う意図や意思決定の証拠は今のところ見当たらない」と語りました。 この点については、米国防総省のカール次官(政策担当)も2023年2月28日に開かれた下院軍事委員会の公聴会で、「中国の習近平国家主席も人民解放軍も、(台湾侵攻の)準備ができていると考えている兆候は見当たらない」と証言しています。 >>議論の内容をさらに詳しく知りたい方は「「台湾有事」衝撃の結果予測!唐突すぎる「方針転換」に相次ぐ怒りの声「聞いてない」」もお読みください。
布施 祐仁(ジャーナリスト)