うまみがすごい「アセロラブリヒラ」とは?“革新的な養殖技術”で海の危機を救う
創業は江戸時代末期の1854年で、長野県に本社を構えるマルコメ。「料亭の味」シリーズなどがヒットし、売上高500億円を超える味噌業界最大手だ。マルコメは、なぜアオサの陸上養殖を始めたのか。
みそ汁の具材として人気が高まるアオサの市場規模は5年前から約4割拡大しているが、海水温の上昇などにより、収穫量が減少。生産量の6割を占める三重県では、この20年余りで収穫量が3分の1近くまで減っていた。 危機感を抱いたマルコメは、2017年に、世界で初めて陸上養殖による量産プロジェクトを開始。松島さんは入社1年目で責任者に抜てきされ、「養殖したアオサを商品化したい」と意気込んでいる。
そんな松島さんが頼りにしているのが、徳島文理大学 薬学部 山本博文教授。愛媛県の陸上養殖場は、山本さんにアドバイスをもらいながら作り上げた。 山本さんはアオサの陸上養殖を世界で初めて成功させた人物で、研究を始めたきっかけは、海藻類の減少に危機感を持ったことだった。アオサ以外にも、ワカメやノリなどの海藻が採れなくなっている日本の海。海藻の減少は、沿岸に生息する魚の減少にもつながっている。
5月20日、いよいよアオサの収穫が始まった。網をセットして水槽の水を抜くと、10トン水槽1つから30キロほどのアオサが採れた。浄化した海水で洗い、脱水後はトレーに丁寧に広げる。仕上げは乾燥機に入れ、風を当てて余分な水分を飛ばすが、乾燥させること約2時間…陸上養殖したアオサは、商品化できるレベルに仕上がったのか。
“魔法の水”は日本の漁港を救えるか?
宮崎・都農町は古くから漁業が盛んな町だが、最近はカマスやフグが獲れなくなり、漁師も少なくなって水揚げが減る一方だという。危機感を抱いた都農町は陸上養殖場を作り、“特殊な水”でハタ科のタマカイを育てている。天然ものならキロ1万円の値を付けることもあるほどの高級魚だ。 この特殊な水を開発したのが岡山理科大学 山本俊政准教授(65)で、都農の人々は漁協の未来を託していた。番組は14年前から、この特殊な水の開発に注目。