うまみがすごい「アセロラブリヒラ」とは?“革新的な養殖技術”で海の危機を救う
有路さんの専門は水産資源や食料経済で、長年、食卓に並ぶ養殖魚を研究。8年前には、ウナギの代用品としてナマズの量産に成功し、今ではスーパーでお馴染みの商品になった。 有路さんは、「付加価値がついたものを作り、それを食べたいというお客さんが増えることで、最終的には日本の養殖業者が潤うようにしていくのが我々のミッション」と話す。 有路さんは大学で教える傍ら、近畿大学が支援する養殖魚の加工・販売会社「食縁」(和歌山・新宮市)の社長も務めている。 早朝5時半過ぎ、宇和島から4キロほどに育ったアセロラブリヒラが運びこまれた。初出荷に向け、生簀から水揚げした魚を、専用の機械を使って一瞬で締める。水揚げ直後の迅速な処理が、身にうまみ成分を多く残すポイントだ。
魚を下ろして状態をチェックすると、アセロラの抗酸化作用で、血合いの色は鮮やか。アセロラには、魚の劣化を遅らせる効果もあるという。 工場長と刺身を試食した有路さんは、「生臭さが抑えられている。うまみがはっきり分かる」と太鼓判を押す。
4月23日に開かれた記者会見で、有路さんは、アセロラブリヒラをスーパー「ベイシア」(北関東を中心に133店舗展開)限定で販売すると発表した。 この日、「ベイシア 青梅インター店」に並んだアセロラブリヒラは、100グラム当たり499円と養殖ブリの約1.5倍の値段。早速手に取ったお客さんは、「見た目がおいしそうだったから」と話す。 順調なスタートを切ったように見えたが、ニチレイフーズの本社に気がかりな情報が飛び込んできた。4月末、ブラジル南部で大雨による大規模な洪水が発生。その影響で、餌に配合するアセロラパウダーが想定よりも生産できていないというのだ。さらに、海外に依存している餌の原料価格が高騰し、採算を取るためには販売量を拡大するしか手段がない。 有路さんは、海外での展開も視野に入れ、次の一手に動き出す。
みそ汁の人気具材が大ピンチ!救世主は世界初の技術?
愛媛・西予市。去年10月から稼働し始めたアオサの陸上養殖場には、大小合わせて48基の水槽設置されている。この養殖場をほぼ一人で管理しているのが、みそメーカー「マルコメ」の松島大二朗さん(32)だ。