ピンからキリまであるゴルフクラブ 何倍も値段が違うのはなぜ? 「スコアをお金で買う」は可能なの!?
開発はもちろん宣伝にも力を入れているから高い
ひとくちに“ゴルフクラブ”といっても値段はピンキリであり、ビギナーでも気軽に手に入れられるような安いものもあれば、1本で10万円もするような高価なものもあります。 【写真10枚】来年の大注目クラブ! テーラーメイド「Qi35」とキャロウェイ「ELYTE」、ピン「G440」の注目3機種を見比べる
ゴルフを始めたばかりの頃は、「どれも形は似ているのにどうしてここまで値段の差が激しいのだろう」と疑問に思う人もいるかもしれません。 では、そもそも値段が高いクラブと安いクラブは、何が原因で差が開くのでしょうか。レッスンプロ兼クラフトマンの関浩太郎氏は、以下のように話します。 「一つは、値段が高いクラブは素材に上質なものを使ったり、製造方法や工程に手間がかかっていたりとコストが大きくなりがちという点が挙げられます」 「たとえばシャフトは、内部に筒状で巻かれている“カーボンシート”の品質によって価格が異なるなど、素材コストの比重が大きくなります。一方でヘッドは、一つひとつ手作業でつくったり個体ごとに性能のバラツキが出ないよう厳密な審査を経ているため、人件費や製造に必要な機械の購入・開発コストなどで費用がかさみます」 「二つ目は、メーカーが新たに開発したクラブを多くの人に知ってもらうためには、ブランド力を高めようと広告にも力を入れます。有名なプロゴルファーと契約したり、各種媒体に広告を打つ費用を上乗せしているため、販売価格にも跳ね返ってくるのです。広報宣伝戦略の過程で生じた費用を穴埋めして利益を生み出すために、価格設定が高くなります」 しかし関氏によると、値段が高いクラブのなかには「有名ではあるが性能は頭一つ抜けているとは言い切れないもの」と「そこまで知名度は高くないものの性能は抜群なもの」の両方があるそうです。 同じ「1本8万円」で高級な部類に入るドライバーでも、その内訳で製作費と広告費のどちらが高い割合を占めているかによって、最終的な評価が大きく分かれてしまう場合もあるそうです。
“新品で極端に安いもの”でない限り値段は関係ない
では、ビギナーも頑張って値段が高いクラブを使った方がいいのでしょうか。関氏は以下のように話します。 「クラブは『値段が高いか安いか』ではなく、『自分の体格や感覚、スイングの仕方にフィットしているかどうか』に重きを置いた方が圧倒的に使いやすく、なおかつそれは値段とは特に関係ありません」 「安かろうが高かろうが、自分が『良い』と感じたものであればそれを使うべきなのです。自分に合ってさえいれば高い新品を買ってもいいですし、逆に新品になかなか手を出せないという人は、中古品でもフィットしているものがあったら気にせず使えばいいのです」 「ただし、なかには“スターターセット”と銘打って、よく使われる主要な番手とキャディーバッグがセットになって5万円以下で売られているものがあります。あのような商品は“性能重視”というより、お金をかけずにゴルフを始めたいビギナーに買ってもらうために“値段重視”でつくられていることが多いです」 「そのため、中・長期的な視点で見ると、メーカーが意図的に価格をできる限り下げているクラブは、個人的な感想からいえばあまりオススメはできません」 また、新品で極端に安いクラブは大量生産を重視している関係で、出荷前にしっかりと検査が入っているとはいえ、個体差がバラバラになりやすい点に注意する必要があります。安いクラブを買う場合は、新品だと値が張りがちな有名モデルも多い中古クラブの中から、フィッティングを通して自分に合うものを選ぶべきだそうです。 クラブは「自分の特性に合っているかどうか」が一番重要な指標なので、基本的に「安かろう悪かろう」といったことはありません。ビギナーの頃はどれを買えばいいか分からないかもしれませんが、用品店に行けばフィッターのスタッフが最適なクラブを見つけてくれるはずなので、値段を考えるのはその次でも大丈夫でしょう。
ピーコックブルー