パリで行きたい美術館18選──定番から新名所、現代アートから新石器時代の装飾品まで【2024年版】
6. ブルス・ドゥ・コメルス
ポンピドゥーから徒歩圏内の距離に2021年、新たな美術館が誕生した。Top 200 Collectorsにも選ばれ続けているフランスの大アートコレクターで、グッチやサンローランを傘下に収めるケリング会長兼CEO、フランソワ・ピノーが蒐集した現代アートコレクションを展示するブルス・ドゥ・コメルスだ。 ブルス・ドゥ・コメルス(Bourse de commerces)は先物取引所という意味。フランス王朝の宮殿跡地に1812年、円形のガラスドームが特徴的な貿易商品の取引所が建設され、商工会議所としても利用されてきた。その歴史的な建物の外装を生かしつつ、安藤忠雄が内装をモダンに一新させた。 1~3階には10の展示室が設けられ、マウリツィオ・カテラン、ライアン・ガンダーなど名だたるアーティストの作品が並ぶコレクション展示のほか、現代アート作家の企画展が随時開催されている。館内にはミシェル・ブラスとその息子が手掛けるカフェとレストラン、最寄りにはオニオングラタンスープが名物のレストラン、オ・ピエ・ド・コション、流行りのブランド店が軒を連ねるショッピングモールもあるので、時間があれば寄ってみるのも良いだろう。 見るべき作品 ●アニカ・イー《BIOLOGIZING THE MACHINE》(2023) ●マウリツィオ・カテラン《UNTITLED》(2007) ●リー・ロザーノ《NO TITLE》(1963) 基本情報 休館日:火曜日 入場料:14ユーロ 公式サイト:Bourse de commerce | Pinault Collection
7. パレ・ド・トーキョー
パリ市立近代美術館と隣接するセーヌ川に面した美術館。2つの棟で構成され、東翼は後述のパリ市立近代美術館、西翼は現代アートのためのアートセンターとなっている。西翼は剥き出しの高い天井に打ちっぱなしのコンクリートからなる、床面積約22,000㎡の壮大な展示スペースをもち、インスタレーションから巨大彫刻、絵画や写真、映像作品、インタラクティブなコンテンツまで、その規模を生かしたさまざまなメディウムの現代アートの企画展が開催されている。また、パリ・ファッションウィーク期間中はショーの会場にもなり、過去数年ではRick Owens(リック オウエンス)やジョルジオ アルマーニ プリヴェ、Rabanne(ラバンヌ)、日本ではYUIMA NAKAZATOやCFCLやAuraleeなどがショーを開催している。 収蔵品をもたないので、常設展はない。企画展はどれも新進気鋭のアーティストをフィーチャーしたもの。常に5つ前後の個展やグループ展が同時開催されているので、滞在時間は長めに見積もっておこう。また軽食を提供するカフェやセーヌ川とエッフェル塔を望むレストラン、ナイトクラブ「Yoyo」など、併設の施設も充実している。美術館としては珍しく夜中の12時までオープンしている点も嬉しい。 パレ・ド・トーキョーを語るうえで、450平方メートルの巨大なブックショップは外せない。アートブックショップとして名を馳せるドイツのヴァルター・ケーニッヒと1926年創業のフランスのビジュアルアート専門の出版社、カイエ・ダールが共同で運営するこの店では、アートや建築だけでなく、ファッションや食、音楽などさまざまなテーマの書籍や世界各国の雑誌、雑貨や文房具などを取りそろえている。ちなみにパレドトーキョーも「MAGAZINE P L S」(2022年以前は「MAGAZINE PALAIS」)という雑誌を発行しており、企画展にリンクしたコンテンツも充実している。 基本情報 休館日:火曜日 入場料:12ユーロ 公式サイト:https://palaisdetokyo.com/