パリで行きたい美術館18選──定番から新名所、現代アートから新石器時代の装飾品まで【2024年版】
2. オルセー美術館
セーヌ川左岸に位置するヨーロッパ最大級の美術館。建物は旧オルセー駅で、1898年から1900年にかけてリュシアン・マーニュ、エミール・ベナール、ヴィクトール・ラルーという3人の建築家によって鉄道駅舎として建てられたものだ。 オルセー駅はもともとパリとフランス南西部を結ぶ列車の発着駅だったが、1939年に近距離列車専用となり駅施設は縮小された。第2次世界大戦中は、駅舎の一部が郵便局として使われたこともある。その後、オーソン・ウェルズ監督の映画『審判』(原作フランツ・カフカ)の撮影が行われたほか、オークション会場オテル=ドゥルオーの建設中には仮設会場として使われている。そして1986年、美術館・文化施設として生まれ変わった。 所蔵作品は1848年から1914年までのフランス美術が中心だ。なかでも有名なのは印象派とポスト印象派の世界最大のコレクションで、ベルト・モリゾ、クロード・モネ、エドガー・ドガ、ポール・セザンヌ、ポール・ゴーギャン、ファン・ゴッホなどの傑作を鑑賞できる。 現在、パリ市ロマン派美術館名誉館長ダニエル・マルシェッソーによる500万ユーロ(約8億円)の寄付金により、17世紀に建造されたマイイ・ネール館(ルーブル美術館のパヴィヨン・ド・フロールと向かい合う位置にある)の修復が始まっている。ここには、2026年初めまでにオルセー美術館付属の資料・研究センターがオープンする予定だ。 見るべき作品 ●ジャン=フランソワ・ミレー《落穂拾い》(1857) ●オーギュスト・ルノワール《ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏場》(1876) ●フィンセント・ファン・ゴッホ《星月夜》(1888) 基本情報 休館日:月曜日 入場料:16ユーロ、木曜18時以降12ユーロ 公式サイト:https://www.musee-orsay.fr/fr
3. オランジュリー美術館
オルセー美術館に訪れたら、歩いてすぐのチュイルリー公園内にあるオランジュリー美術館にも行っておきたい。オランジュリーはその名の通り、「オレンジ用の温室」として、1852年にナポレオン3世によって建てられた。その後第1次世界大戦を経て1927年、フランス首相ジョルジュ・クレマンソーの手によって美術館へと生まれ変わった。 オランジュリーの見どころは、なんと言ってもモネの《睡蓮》のための特別展示室。計8点、高さ2メートル、幅約100メートルにもなる《睡蓮》が、2つの楕円形の展示室に360度パノラマで展示されている。 地下1階、2階は、美術収集家ジャン・ヴァルテールとポール・ギヨームが収集した近代絵画のコレクションが見られる展示室となっている。所蔵作家はルノワール、セザンヌ、ゴーギャン、シスレー、ピカソ、マチスなど。フォーヴィスム(野獣派)創設者のひとり、アンドレ・ドランの作品が多数見られるのもオランジュリーの特徴である。 見るべき作品 ●モネ《睡蓮》(1914 - 1926) ●モディリアーニ《ポール・ギョームの肖像》(1915) ●ルノワール《ピアノに寄る娘たち》(1897) 基本情報 休館日:月曜日 入場料:12.5ユーロ、18時以降10ユーロ 公式サイト:https://www.musee-orangerie.fr/en