2歳児のインターネット利用率が「58.8%」…スマホに慣れた子どもは「リアルな遊びに興味を示さない」
足を交互に出すスキップができないことも…
ーーこの本では、小中高の子どもたちの現状にも触れています。幼少期の問題が、小中高に引き継がされていると考えられるのでしょうか。 石井:一利あると思います。取材した先生方によれば、小学校では次のようなことが起きているそうです。 ・徒競走でカーブを回れずに転倒する子が増えている。 ・肩や脇が固まって、両手を上げて万歳ができない。 ・バランスや筋力が弱く、雑巾掛けの姿勢がとれない。 ・足を交互に出すスキップができない。 こうした事象は、幼少期の問題が、小中高に繰り越されて起きていることと言えるでしょう。本書でも紹介しましたが、これらは小児形成外科の分野で、「子どもロコモ」と呼ばれて大きな問題とされていますので、気になる方は参考にしていただければと思います。
一度も顔を見たことがない「ネットの恋人」
ーースマホの普及により、子どもたちの人間関係も少しずつ変わってきているという指摘がありました。 石井:代表例が、「ネットの恋人」です。今の子たちは、SNSで良いと思う相手を探して、フォローしたり、ダイレクトメールを送ったりします。中には、SNSで一度も会わないまま告白して付き合う子もいます。一般的な子は、ここからリアルのデートをするようになりますが、一部の子はデートもすべてオンライン上でする。デート代もかからない、しくじることもない、気疲れしたら切ればいいということから、ネットのみの付き合いの方が便宜性が高いと感じるのだとか。一緒に動画を見て、SNSで感想を言い合うなどというデートです。そのため、半年間付き合っていても一度も顔を見たことがないなんてことが起きています。 興味深いデータがあります。2019年に、愛知県の私立高校の生徒に対して行った性教育に関するアンケートです。ここで、生徒たちに「出会ってからどれくらいの期間で男女の関係になったか」という質問をしたところ、1カ月以内の複数の項目のうち、「出会ったその日」という回答がずば抜けて多かったのです。 なぜかわかりますか? このヒントとなるのが、「ネットの恋人」なのです。ネットで出会って、ネットでデートしていても、男女の関係にまではなれない。だから、SNSで「会ってホテル(家)へ行こう」と言って実際に会うので、アンケート結果としては「会ったその日」が多くなるのです。 ただ、ネットでやり取りしたからといって、なかなか相手のことを理解するまでに至らないですよね。最悪の場合は、相手が騙そうとして近づいてきていることだってありえます。中高生の間では、こうしたネットでの関係から生じるトラブルが年々増えてきているのですが、最近はそれが小学生にまで低年齢化しているのです。