【RIZIN】斎藤裕はなぜラーメン屋を開業したのか──「格闘家のセカンドキャリア構築を体現し、プロを目指す若者を応援したい」「『和牛白湯』で激戦区・秋葉原に“風穴を開ける!”」「朝倉未来選手とは──」
◆ピークを過ぎていても、辞めてからやることがないから続けなくてはいけないような選手もたくさんいると思う
──その話を受けて。セカンドキャリアと言ったときに、あくまでも現役選手生活は続いているなかでこうした新規事業に取り組み始めたことには、どのような思いがあったのでしょうか。 「本当にいろんな思いがあります。選手ですから、僕の人生は『勝敗ありき』で進んでいくもの。だから、7月に勝っていたらこの店が年内にオープンすることはなかったですね。あったとしても、もう少し違う形でのプロモーションになっていたと思います。7月に勝っていれば、大晦日に出場することも見据えて進んでいくストーリーが生まれていたと思うので。選手でありながら、ということについては色んな視点もありますけど、現役を終えて取り組むよりも、自分が築いてきたネットワークだったり、人脈であったり、自分がずっと発信してきたことだったり……、そういうものを今のうちに形にするのはすごく大事なことだと思っています。 それに対していろんな声が挙がるものだとも受け入れていて。朝倉未来選手もブレイキングダウンを始めとしていろんなビジネスを手がけていて、良い/悪いを置いて、できる範囲で取り組んでいくことは必要なのかなって。でももしそれに全フリしてしまったら、選手としてはいったん区切りをつけ、選手後の人生という話になる……格闘家はその辺りの考え方がとても難しいと思うんです。選手としてのピークを過ぎていても、辞めてからやることがないから続けなくてはいけないような選手もたくさんいると思います。だからといって、『辞めます』と言ったあと企業で雇ってもらえるかというとそういうわけでもない。個人的なツテがあれば就職もできるかもしれませんが。ジムを開業するにしても、都内を見渡しただけでももう飽和状態ですよね、もちろんひとつの道だと思いますけれど。 自分はRIZINに出場したり、YouTubeチャンネルも伸びてきたこともあるので、自分なりのひとつの道を示せるかなと思ったんです。僕ががんばってこの店をしっかり繁盛させ、ゆくゆくは地方展開や海外展開をしていったら、他のファイターたち、たとえばキャリアを終える人であったりと自分と繋がりのある選手たちに働いてもらったりしてこのプロジェクトに関わってもらえたらと。野球選手にも人脈がありますが、社会人野球を終えたあとに迎え入れる体制を整えることも視野に入れています。自分だけではなく、たくさんの人を巻き込んで、みんなでいい方向にいきたいというプロジェクトなのです。矢面に立つ僕自身は色々と言われることもありますけれど、そういうものにも慣れてはきたので、いいかなって」 ──クラファンのイントロダクションのなかに「若手を支援する」というキーワードがありましたが、それは端的に言うと選手をやりながら安定収入を得るための雇用を支えるという方向性なのでしょうか? 「若手の話については、『地方から上京してくるような人たち大歓迎!』という考えです。自分が秋田出身で、東京に来た時に親も身内もいないし友達もいなくて、住むところも仕事もないという状況でしたから、地方の選手が東京に出てくるにあたってのハードルって、段階としては三段階くらいある、ものすごく高いというのが意識としてあって。自分との繋がりがある上で、にはなりますが、18歳とか19歳くらいの子が来てくれたら、最初はアルバイトという形にはなると思いますが、選手として自分の持っているYouTubeで取り上げたりもできますし、人伝てにでも、ボクシングの優秀な選手がいれば働きながらお店でもプロモーションできて、YouTubeチャンネルも使ったりもできる。そして『チャンピオンになったら卒業』みたいな設定をして、一人前になったら大丈夫! と送り出せるような仕組みをつくりたいんです」 ──その若者たちを選手として斎藤選手の手で育成することも検討しているのですか? 「それよりは、生活を支えていくことですかね。野球やサッカーみたいにメディアに取り上げられるメジャースポーツで一流になっていくのとは違いますし、その一方で自ら発信していくことができる時代ですから、このお店と関わっていくことが、若手の格闘家やボクサーにはいいんじゃないかと思ってのことです。お店で働くことは顔を売ることにも繋がりますしね。営業活動の場としても使ってもらいたい。ファイターに近しい僕たちとしてはシフトも柔軟に対応して、試合前に練習に集中したいというときに、お店に入る時間を減らして集中させてあげる、というようなこともできたらいいと思うし、お客さんにチケットを買ってもらうこともできるかもしれませんし。できることはたくさんあります。若い選手にとってプラスになるようにしてほしいですし、そのプロモーションを僕が手伝えるというのは大きいです。どんどん立派になって巣立ってほしくて、『ここで働いた人は出世する』という看板を掲げたいんですねよ、スポーツに限らずアーティストや俳優さんなども含めて。夢を持った若者を応援したいから、それを、僕たちと関わると得があるんだと思ってもらえるようにしたいですね」 ──それだけ、環境を変えることには不安が伴うということを実体験として感じていると。 「ええ、地下鉄の乗り方もわからなかったので。自分は先輩方に恵まれて引き上げてもらったので、今度は僕の番だなと。そういう役割が来るものですね、年齢を重ねると。心ある先輩方に恵まれてやってきたので、僕が返して行く番になりました。37歳ですからね。ファイターとしてもそうですし、世間的にもいい歳ですよ。会社に就職していたら中間管理職の世代ですよね(笑)。責任は増すが給料が上がらない、的な」 ──先ほどおっしゃったような夢のある魅力的なお店になるためにも商品としてのラーメンがみんなに愛されることが重要ですが、ラーメン店の運営として掲げている目標というのは、ありますか? 「お店としてはやっぱり何らかの賞を獲得することですかね……『ラーメンオブザイヤー』のようなものですとか。そして、やはり海外展開ですね。ラーメン×和牛は世界に誇れるものなので、国内にとどまらず、どんどん外に向けて発信して、外貨を取りに行きたいです」 ──UFCファイターたちも多くがラーメン好きを公言していますよね。マックス・ホロウェイは階級を上げる際に「ラーメンを我慢しなくて済む」と発言していましたし。 「この島国で終わらせたくないですね。無料招待するからアメリカのファイターにガンガン来てもらいたいです。ショーン・オマリーもマックス・ホロウェイも大歓迎ですよ」
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