「高額療養費制度」見直し、3回に分け自己負担の上限引き上げ…現役世代の保険料負担の軽減狙い
厚生労働省は25日、医療費が高額になった場合に患者の負担を抑える「高額療養費制度」の見直しを発表した。2025年8月~27年8月に、3回に分けて自己負担の上限額を引き上げる。平均的な年収とされる約510万~約650万円の場合、上限の基準額は現行の月約8万円から約11万3000円に増える。
上限額は現在、年収に応じ、70歳未満で5段階、70歳以上で6段階にそれぞれ分けられている。25年8月に現行の年収区分のまま、上限額を2・7~15%引き上げる。26年8月からは年収区分を70歳未満で13段階、70歳以上で14段階に増やし、27年8月からと併せて上限額を引き上げる。
引き上げ幅は負担能力に応じて設定される。70歳未満の上限の基準額は、年収約650万~約770万円の場合、月約8万円から約5万8000円増の約13万8000円となる一方、年収約370万~約510万円では月約8万円から約8000円の増額にとどまる。
自己負担の上限額引き上げには現役世代を中心に保険料負担を軽減する狙いがあり、厚労省の試算によると、1人当たりの保険料は年額1100~5000円軽減する。高額療養費制度の利用件数は高齢化の進展や医療の高度化で増加傾向にあり、21年度は6198万件に上っている。