救急の切り札!三重県津市の“空白地域”を守る、機動的救急隊「M.O.A」に密着
子どもとの時間を大切にしつつ、救命士としても貢献したい。そんな思いから発案したのが、「M.O.A」でした。帰宅後、小野さんの娘に母・小野さんの仕事について聞いてみると、「人を助ける仕事。かっこいいし憧れる」という答えが。
初めて聞く娘の思いに、「泣いちゃう、母ちゃん。こういうこと言われるの初めてやな」と嬉しさを滲ませます。
小野さんが勤務する職場のデスクの引き出しには、娘から贈られたというお守りが入っていました。「安全にということで(娘の)手作りで。緊急走行している救急車とか見ると、ちょっと心配なところもあるのかな」と娘に思いを寄せました。
1分1秒でも早く患者さんのもとに到着したい
7月上旬のある日。朝からM.O.Aに出動の指示が出されました。任務内容は、クリニックから脳卒中の疑いがある女性を病院へ転院させること。「頭痛いとかは?」、「右手のしびれとか力が入りにくい感じかな?」と、小野さんが優しい口調で患者の容体を確認しながら転院先へと向かいます。
搬送を終え、署に戻ろうとするM.O.A。しかしその時、久居署では、待機していた救急車が出動し、“救急空白地域”が生まれていました。
M.O.Aが署に到着したところで、隊長・東さんの電話が鳴りました。「入った!救急(出動)!」と次の出動先に向けてハンドルを握る小菅さん。空白地域からの出動要請、M.O.Aは態勢を整え、すぐに現場へ向かいます。 学校でサッカーをしていた生徒2人がぶつかり、けがをしているとのこと。
現場に到着後、腕をけがした生徒の処置にあたるM.O.A。救急車に運び込まれた生徒は、左肘のあたりが大きく腫れていました。「ちょっと痛いな、ごめんな」と、痛みに耐える生徒に寄り添いながら処置を進めます。 搬送中、車の揺れで腕に痛みが走らないよう、全身で生徒の体を支える小野さん。どんなときも、患者に寄り添うことを忘れません。 M.O.Aは無事、病院に到着。M.O.Aがいたことで、現場までの到着時間は4分短縮。救急空白地域を埋める使命を果たしました。