救急の切り札!三重県津市の“空白地域”を守る、機動的救急隊「M.O.A」に密着
すぐに救急車が駆け付けられない「救急空白地域」を埋めるべく、去年より三重県津市で導入された機動的救急隊「M.O.A」。一刻も早く患者のもとにたどり着くため、津市を縦横無尽に駆け回る「M.O.A」に密着しました。 【動画】「1秒でも早く…」緊迫の現場
“空白地域”に素早く駆けつける救急隊
災害級の暑さとなっているこの夏。救急隊は1年で最も忙しい時期を迎えています。 「熱中症疑い!96歳!」 救急車が向かった先は、三重県津市のクリニック。90代の女性が重度の熱中症の疑いがあるため、病院に移してほしいという要請です。 女性の体温は38.8℃まで上がり、かなりぐったりした様子。アイシングで体を冷やしながら病院へ搬送します。この日の最高気温は33.9度。女性は扇風機を使用し、エアコンのついていない部屋で過ごしていたと話しました。 無事、病院へ搬送された女性。しかし、もしかしたら、“救急車がすぐに来ない”という事態に巻き込まれていた可能性があるのです。 女性の搬送要請があったとき、最寄りの救急隊は出動中。隣接する地域の救急隊が代理で出動した場合、今度はその地域が救急車がいない“空白地域”になってしまうのです。
そんな事態を防ぐために作られた部隊が、三重県津市における“救急の切り札”「M.O.A(Move Over Ambulance)」。課せられた使命は、「救急車がいない“救急空白地域”に駆けつける」こと。 人口約27万人、琵琶湖とほぼ同じ広大な面積を抱える三重県津市。13ある消防署などに配備された救急車が、各地域の要請に対応しています。 一方、「M.O.A」は市のほぼ中央に位置する本部で待機。“救急空白地域”が生じると、その地域に管轄を超えて駆けつけるのです。
そのうちの一人、小野麻衣さんがこの部隊の“生みの親”。「救急空白地域をどうにかして埋めることができたら、患者のもとに1分1秒でも早く救急車が到着することができるのではないかと考えました」とM.O.A発案の経緯を語ります。