誰にも文句を言われたくない――病との苦闘を経て武道館に立つPassCodeの軌跡
2013年に、大阪・堺の町工場の2階にある小さな事務所で結成された4人組アイドルグループのPassCode。電話ボックスのような簡易レコーディングブース、鏡を並べただけのダンスレッスン部屋が彼女たちの原点だ。 コロナ禍になる以前、そんなPassCodeのライブでは、多くのファンたちが他のファンの頭上を転がって移動していく「クラウドサーフ」が展開され、その熱狂は圧巻の光景だった。PassCodeのサウンドは、激しいロックと電子音による「ピコリーモ」が特徴だ。そして、オートチューンと呼ばれる電子的な加工が施されたボーカルと、咆哮するかのようなシャウトが人気を呼び、「SUMMER SONIC」などの大型フェスにも出演。2022年2月には日本武道館でのワンマンライブも決定している。 着実にステップアップを続けてきたPassCodeだが、その軌跡は、順風満帆なものではなかった。長きにわたって、メンバーそれぞれの体調不良やうつに悩まされてきた。アイドルとロックバンドのボーダーをやすやすと越え、音楽シーンで注目を集める4人に話を聞いた。(撮影:佐々木康太/Yahoo!ニュース オリジナル 特集編集部)
海外での1位に「どういうこと?」
PassCodeは、アイドルなのだろうか、ロックバンドなのだろうか。メンバーの南菜生(25)はこう語る。 「アイドルのイベントに出ると、『そんな音楽がしたいならバンドのイベントに出ればいい』と言われ、バンドのイベントに出ると『アイドルなのに?』と言われてきました。長い時間がかかったけれど、ようやく少しずつPassCodeという形を認めてもらえるようになってきたと思います」
モーニング娘。の10期メンバーオーディションの最終審査まで進んだこともある大上陽奈子(23)は、「サウンドは、アイドルらしからぬシャウトパートもあったりするんですけど、ダンスで魅せることができますし、衣装だって華やかにすることができます。いろいろな強みがあるんです」と話す。