家具風「冷蔵庫」で2台目需要を呼ぶ…アクアが打ち出す新機軸
新しい冷蔵庫の需要を喚起しようと、アクア(東京都中央区、杜鏡国社長)が家具風のユニークな冷蔵庫を開発、9月上旬に発売する。「家具を冷蔵庫にする」をコンセプトに、インテリアのように室内に自然に溶け込み、圧迫感を抱かせない製品とした。リビングや寝室などに置く2台目の冷蔵庫としての需要を狙っており、出荷台数が減少を続ける冷蔵庫に新機軸を打ち出そうとしている。(編集委員・小川淳) 【写真】家具調の見た目のためリビングに溶け込むアクアの冷蔵庫 新商品の冷凍冷蔵庫「LOOC(ルーク)」を発案・デザインしたハイアールアジアR&Dの渡辺悠太プロダクトデザイナーは、発想の原点について、「1人暮らしのときに感じていた従来の2ドアの白い冷蔵庫を狭いワンルームで使っていたときの不満点」と振り返る。 サイズが大きく圧迫感があるほか、ドアの向きが決められていること、運転音が気になるなどの不満があり、「冷蔵庫は毎日使うものなので、そういう小さな不満がどんどん高まり、これをなんとかしたい」とプロジェクトを開始した。 容量は冷蔵室と冷凍室を併せて72リットル。奥行きは45センチメートルに抑え、コンパクトな設計とした。ドアは木目調で、約9センチメートルの足をつけることもでき、キャビネットのようにも見える。足があることで、空間を広く見せる効果がある。また、フレンチドア(観音開き)を採用し、右側に冷蔵室、左側に冷凍室を備えている。コンプレッサーはインバーター式で静音性を担保し、運転音は21デシベルに抑え、寝室やオフィスなど静けさが求められる環境下でも使いやすい設計とした。 企画から製品化までに約4年間かかったといい、アクア商品本部の杉本優輔冷蔵庫企画グループマネージャーは「一番苦労した点はこのコンパクトなボディーの中に冷蔵と冷凍を両立させること」と振り返る。全体のデザインだけでなく、コンプレッサーやダクトの位置、冷気の循環、庫内のスペースとのバランスなど、微調整を繰り返した。 価格はオープンで、7万7000円前後(税込み)を想定。同容量の冷蔵庫より数万円程度高額となるが、リビングや寝室などさまざまな場所に溶け込むことのできる特性を消費者に訴求していく。アクアでは天板に写真などを置いてサイドボードのような使い方のほか、アクセサリーやコスメを置くドレッサーなど、生活の中でのさまざまな使用例を提案している。 アクア商品本部冷蔵庫企画グループの山本陽護ディレクターは、「日本での冷蔵庫の出荷台数はこの10年で25%くらい縮小しており、我々としても非常に危機感を感じている」と述べており、2台目需要を喚起して、新たな市場を創出していく考えだ。 家電量販店やの電子商取引(EC)サイトで予約を始めており、今後ホテルや海外での展開なども視野に入れていく。