不労所得を夢見たはずが残ったのは億の借金…「サラリーマン大家」で失敗する人に共通する「良さげな物件」とは
■リターンも大きいがリスクも大きい なぜ、そこまで「危ないですよ」と僕がいうのか。これも投資の鉄則ですが、レバレッジのきく投資はリターンが大きくなる分、リスクも大きくなります。それがわかっていても挑戦したくなるのは、投資する側にとっては魅力的に感じられるからでしょう。 たとえば、元手となる資金が10万円あるとして「レバレッジ5倍で投資をする」となると、元手の10万円に対し40万円の借金をして合計50万円で投資ができます。投資対象が10%値上がりした場合、50万円×10%=5万円の利益を得られる計算です。同じ10万円でも借金なしだと、利益は1万円なので10%そのもの、借入をすると同じ10万円の元手でも利益の5万円は、50%にあたるので、魅力的ではないでしょうか。 ただ、10%値下がりした場合も同じだけ、5万円の損失、元手が半分になる点に注意が必要です。これが、「投資対象が100%値下がりした(破綻した)」という最悪のシナリオの場合、元手になる10万円すべてを失うだけでなく、40万円の借金に返済義務が生じ、大きな損失になります。 ■暗号通貨「崩壊」の可能性はゼロではない 現実的には投資対象の価値がゼロになってしまうことは稀ですが、企業の倒産や暗号通貨の崩壊の可能性はゼロではないのはよく知られているとおり。不動産投資の場合は市況の変化があった場合でも、元利金の返済ができている限り、返済期間中は景気回復を待つことができます。 これが株式投資や暗号通貨の信用取引の場合、追加で証拠金を入れないと、強制的に売却されてしまい、損失が確定してしまいます。損失確定が許容できずに、手を付けてはいけない資金に手を付けて証拠金を支払い、さらに損失が拡大……ということも起こり得ます。借金してまで株式や暗号通貨に投資をするのはおすすめしません。
■不動産投資の借金で気を付けること 「不動産投資のための借金は、会社員ならすべき」と前述しました。ここで気をつけたいのは、不動産投資で借金をするときは、「資産価値」「キャッシュフロー」「レバレッジ倍率」のバランスを考える必要があるということ。そして、不動産なら何でも買えばいいという話ではないということです。 「サラリーマン大家さん」に憧れる会社員は少なくありません。会社員としての給与を確保しつつ、会社以外から定期的に入ってくるお金を確保できる安定的な投資の形だからです。 ですが、物件によっては「不動産を持っているだけで儲かってはいない」ということが起こります。そういう場合、「たしかに、交際費や交通費などを経費にできてその分が節税になっている。でも、不動産そのものは赤字。通算すると少しだけ黒字という程度かな」ということも、ままあります。でもそれは、本来の目的とは違っています。 不動産投資の目的はあくまでも投資であって、節税ではありません。節税はあくまでもオマケととらえ、不動産投資そのものできちんと長期的に利益が出るものを保有する必要があるのです。 ■「よく知らない首都圏エリアの木造アパート」での失敗 よくある「サラリーマン大家さん」の失敗例としては、こんなケースがあります。 投資物件は新築の木造アパート。場所は、首都圏といっても東京生まれの人でもあまり聞いたことがないようなエリアだったりします。そのアパートに投資をしようと決めた理由は「利回りがよく、販売不動産会社による家賃保証がついているので、決まった額の家賃が入ってくるため」。 ところがいざ投資をはじめてみると、利回りがいいのは一時的なもの。不動産会社は最初から、「大家さんには最初だけ“おいしい思い”をさせてあげればいいだろう」という目論みで、大きな販売利益をとるために、期間限定の家賃保証で小さなリスクをとる、というパッケージで考えているわけです。 この手の不動産会社は、一定期間が過ぎた後は、契約更新のタイミングで家賃保証の継続を拒否したり、継続だとしても大幅な減額を要求してきたりするのが定石。すると、大家さんはみずからそのマイナーなエリアに建っている木造アパートの面倒を見なくてはならなくなるうえに、下手をすると億単位の借金が残ってしまうことになります。 木造アパートはマンションに比べて劣化のスピードも速く、借り手も次第に減って当初の賃料レベルで貸せなくなり、さらに赤字が膨らんでいく……という負のスパイラルを止められなくなっていくのです。 このように、不動産会社のビジネスモデルにはまり、「建物の価値も低ければ、土地の価値も低い」というような投資物件に手を出してしまわないよう、購入するときは慎重にならなければいけません。