DeNA東はなぜ指笛を嫌がった? OB捕手は同情、頭にチラついた“サイン盗み”
大歓声の中で指笛の音を察知した東は「すごいと思います」
一方で、「あの大歓声の中で、指笛の音を察知した東はすごいな、とも思います」とも。それほど全方位に神経が研ぎ澄まされていたのかもしれない。 この日のDeNAの勝因が、東の“粘投”にあったことも間違いない。7イニングを投げて10安打を浴びながら、四死球を与えず、失点は初回の1点のみ。「救援した伊勢(大夢投手)、森原(康平投手)を含め、この試合で1度も先頭打者の出塁を許さなかったことがポイントでした」と野口氏は指摘した。 東は今月12日、阪神とのクライマックスシリーズ(CS)ファーストステージ第1戦に先発し、4回3安打無失点だったが、自身の打席でヒットを放った際の走塁中に、左太もも裏を痛めて交代。日本シリーズでの登板が危ぶまれていたが、0勝2敗で迎えた第3戦で見事に好結果を出した。 「指名打者が採用され、投手が打席に立たなくて済む敵地だからこそ、復帰戦の舞台に選ばれたのではないでしょうか」と野口氏。注目されるのは、シリーズ中にもう1度登板機会があるかどうかだ。「もちろん患部の状態や体調次第ですが、DeNAの首脳陣は、第7戦までもつれ込んだ場合には、中4日で先発してほしいと考えていると思います」。チームを窮地から救ったエースが、勝手知ったる本拠地・横浜スタジアムのマウンドに上がることはあるのか──。
宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki