犬の消費者向け遺伝子検査がブームに、「覆面調査」で信頼度を検証してみた、米国
唾液で血統や遺伝性疾患のリスクを評価、実際のところどうなのか?
私の愛犬は致命的な病気にかかりやすいだろうか? 保護した子イヌはビーグルだろうか、ボクサーだろうか? 多くの人がこうした疑問への答えを求めた結果、消費者向け(DTC)のイヌの遺伝子検査サービスが米国でブームになっている。 ギャラリー:犬の遺伝子検査を検証してみた、犬種の例など写真と画像7点 このサービスはどの程度信頼できるのだろうか。愛犬の唾液を拭き取った綿棒を郵送するのは簡単だが、得られた情報にもとづいて何らかの行動をとるか否か、行動するとしたらどのように行動するかは、科学者にとっても飼い主にとっても難しい選択になる。
必要な遺伝子検査はあるものの
イヌとオオカミが分岐した時期は、約2万3000年前とも約1万3000年前とも言われている。いずれにせよ、人類による家畜化はイヌに消えない刻印を残した。望ましい身体的および行動的特徴をもつイヌたちが慎重に交配された結果、世界中で400近い犬種が生み出されている。 科学者たちは2004年に初めてイヌのゲノムをすべて解読した。それ以来、イヌの腎臓がん、網膜萎縮、股関節形成不全などの疾患に関わる遺伝的な素質について、多くの事実が明らかになった。 2023年には100万匹以上のイヌを対象とする大規模な研究で、250の遺伝子変異のスクリーニングが実施された。その結果、57%のイヌに疾患に関連する遺伝子変異が少なくとも1つあり、遺伝的多様性が低いイヌほど健康上の問題が生じる可能性が高いことが明らかになった。 ほとんどのイヌが高度に近親交配されていることも判明している。2021年に行われた研究では、227の犬種の全体にわたり近親交配が多いことが明らかになり、近親交配が少ないイヌはより健康であることが示唆された。 多くのブリーダーや獣医師は、純血種のイヌの潜在的な問題を防いだり発見したりするために遺伝子検査を行っている。また、多くの獣医師が、シェパードを祖先にもつミックス犬や純血種のシェパードの飼い主に対して、イベルメクチンなどの一般的な動物用医薬品を投与したときに神経症状を引き起こす可能性のある遺伝子を調べる検査を勧めている。 とはいえ、愛犬の潜在的な健康問題について検査をするかどうかの判断は、最終的には飼い主に委ねられている。