犬の消費者向け遺伝子検査がブームに、「覆面調査」で信頼度を検証してみた、米国
血統の評価を検証してみた
人間によるイヌのDNAへの干渉といえば、ずっと犬種の多様化(あるいはイヌの多様性の欠如)を進める交配だった。だが近年は、犬種に特有の健康と行動の問題を懸念する飼い主や、愛犬の犬種や血統を確認したい飼い主の間で、消費者向けの遺伝子検査サービスがブームになっている。 これはイヌのDNAの配列を調べて、特定の犬種のデータセットと比較する形で行われている。 犬種の特定は容易に見えるかもしれないが、それほど単純ではない。米国獣医学協会誌「Journal of the American Veterinary Medical Association」の2024年4月号に発表された論文では、イヌのDNAサンプルと写真から犬種を判定する遺伝子検査サービスの精度が調べられている。論文の共著者であるコロラド大学の生物医学情報学教授のケイシー・グリーン氏は、「結果はまちまちでした」と言う。 研究チームは、12匹のイヌの写真とDNAを6つの遺伝子検査サービスに提出した。どのイヌも純血種で、アメリカン・ケネル・クラブのしっかりした血統書があるため、犬種は確実に分かっている。研究チームは、イヌの写真が各社の判定に影響を及ぼすかどうかを確認するため、一部のイヌについては別のイヌの写真を提出した。 返ってきた結果を見ると、ほとんどの検査が犬種を正確に判定できていた。ただ、6社のうちの1社は、チャイニーズ・クレステッド・ドッグをブリタニー・スパニエルと誤判定していた。 体毛がほとんどない犬種を長毛種としたのは、おそらく写真だけを見て判定したせいだろう。他の5社は犬種は正しく判定したが、以前の世代での交雑を示唆するDNAに基づいて、イヌの「祖先」の犬種についてはしばしば異なる判定をした。 研究チームは、消費者向け遺伝子検査サービスには業界の標準がなく、少なくとも1社がDNA分析ではなく写真にもとづいて判定を行っていたことを考えると、獣医師もペットの飼い主も、こうしたサービスは慎重に利用するべきであると結論づけた。