60歳サラリーマン「退職金1,800万円もらえるぞ!」→妻と2人「世界一周旅行」のつもりが「近場の温泉旅行」にランクダウンの切実事情
退職金受領後の金融資産をイメージしよう
退職金を社内預金満期だと考えると、退職前から心の準備ができますし、実際の準備もできます。それは、投資信託の積み立て投資を積極的に行なうことです。退職金を受け取ってから一気に投資信託を購入するよりも、退職前から少しずつ積み立て投資をしておく方がリスクが少ないですから。 退職の前日には、預金がゼロで金融資産がすべて投資信託でも構いません。明日になれば、退職金が銀行に振り込まれて、バランスのいい老後資金の姿になるからです。そこに向けて、数年前から積み立て投資をしていけばいいのです。 実際には、「金融資産が投資信託に偏っていて不安だ」と思うこともあるでしょうが、そんな時は「自分は少額の投資信託と多額の社内預金を持っているのだから、これでいいのだ」と自分に言ってきかせましょう。 住宅ローンの繰上げ返済も、不要でしょう。少しでも借金を減らしたい、という気持ちはわかりますが、「借金はあるけれど、社内預金もあるから大丈夫」と考えれば、気持ちが落ち着くでしょう。低金利時代の住宅ローンですから、急いで返さなくても、退職金で返済すれば十分です。 余裕資金を住宅ローンの繰上げ返済に使ってしまうと、退職前日に金融資産が皆無で、退職日には金融資産の全額が銀行預金だ、ということになりかねません。そうなると、インフレに弱い老後資金構成となってしまいますし、それを避けようと思えば一気に多額の株や投資信託を購入することにもなりかねません。 余裕資金があるならば、住宅ローンの繰上げ返済をするのではなく、投信の積み立て投資をすればよいのです。退職日に理想的な老後資金のバランスになるように計算して、そこから逆算して積立投資の額を決めればよいでしょう。 本稿は以上ですが、資産運用等々は自己責任でお願いします。なお、本稿はわかりやすさを重視しているため、細部が厳密でない場合があり得ます。 塚崎 公義 経済評論家
塚崎 公義