「七難八苦を与えたまえ」と祈った山中鹿介の甲冑、城下の「samuraiルーム」に…来館者「威圧感で思わず後ずさり」
月山富田城を治めた尼子氏の家臣・山中鹿介をモチーフにした客室を、島根県安来市の旅館が売り出している。 槍(やり)の名手だったとされる鹿介や月山富田城の墨絵、鹿介をイメージした 甲冑(かっちゅう)を展示。外国人観光客にも利用してほしいと「samurai(サムライ)ルーム」と名づけた。(松浦彩) 【写真】アメニティーのフェースタオルには鹿介のシルエットがデザインされている
鹿介は、毛利氏に滅ぼされた尼子家の再興を願い、奔走した戦国武将。困難に直面しながらも「我に七難八苦を与えたまえ」と、三日月に祈ったというエピソードは有名で、ファンの間では「武士のかがみ」とも称されている。
旅館は「さぎの湯温泉 竹葉」で、サムライルームは2階にある。主人の小幡浩三さん(56)に案内してもらった。
ドアを開けると、甲冑姿の鹿介が、槍を手に三日月に祈る場面を描いた墨絵が視界に飛び込んできた。「墨絵師」として活動し、若者らに人気がある 御歌頭(おかず)さんの作品だ。
客室のふすまには、「 平四(ひらよ)つ 目結(めゆい)」と呼ばれる尼子家の家紋がデザインされ、開けると、5畳半の室内に、鹿の角が付いた兜(かぶと)と鎧(よろい)が置かれていた。
こぢんまりとした空間に堂々と置かれ、すごい迫力だ。思わず後ずさりすると、「威圧感を出すため、一般的な飾り方より座面を高くしています」と小幡さん。ほかにも山中家の家紋が入った歯ブラシや、鹿介のフェースタオルなど、アメニティーにもこだわりがある。
サムライルームは昨夏、客室の内装に御歌頭さんの墨絵などを取り入れたのが始まり。今春にあった客室の改装に合わせ、甲冑の制作を職人に依頼するなどして本格化させた。鹿介を知らずに利用し、翌日に月山富田城へ出かけた宿泊客もいたという。
小幡さんは「甲冑の威圧感は『怖くて眠れないかも』と不安がるお客さんもいるほどです。鹿介との濃厚な時間を楽しんでほしい」と話している。
定員は1人。1泊2食付きで2万4150円(税込み)から。問い合わせは、竹葉(0854・28・6231)。