後味悪い幕切れ。ペナルティ裁定に「日本独自のルールを感じた」とニック・デ・フリース/スーパーフォーミュラ第7戦
10月13日に富士スピードウェイで行われた全日本スーパーフォーミュラ選手権第7戦。ITOCHU ENEX TEAM IMPULからスポット参戦していたニック・デ・フリースは、同シリーズでは今季最後のレースで8位チェッカーを受けるも、終盤に山下健太(KONDO RACING)と接触し相手をコースアウトさせたとして5秒加算ペナルティを受け、正式結果では11位に降格。レース内容は良かったものの、本人としてはスッキリしない幕切れとなった。 【写真】トラブルから接触後、山本尚貴のマシンに駆け寄り声をかける阪口晴南(スーパーフォーミュラ第7戦富士) ■オーバーテイクショーからの“初ポイント”が幻に 「これが3戦目ではあるけど、僕自身としては今年最後のスーパーフォーミュラ参戦となる。チームインパルのみんなは最初から僕のことを歓迎してくれて、優しく接してくれた。そのおかげで僕もエンジョイしながら日本のレースに参戦することができたから、彼らとともに戦う今年最後のレースはチームみんなで良い形を残したいなと思っていた」 好結果を望んで予選に挑んだものの、前日同様に苦戦を強いられて17番手からのスタートとなったデ・フリースは、1周目でふたつポジションを上げる。しかし2周目のダンロップコーナーで木村偉織(San-Ei Gen with B-Max)が三宅淳詞(ThreeBond Racing)に追突。三宅がスピンしたところに、真後ろを走っていたデ・フリースが突っ込む形となった。 「ちょうど僕の目の前でアクシデントが起きて、僕自身は行き場がなくてどうすることもできなかった。フロントウイングを破損していたから、ピットインして新しいものに交換してもらった」とデ・フリース。 「ファーストスティントのペースが良くて、(セーフティカーからの再開後に)ポジションを上げることができた。さらに2回目のセーフティカー導入も僕たちにとっては良い方向に働いて、ちょうどSCが入ったタイミングでタイヤ交換を済ませることができて、何台か追い抜くことができた」と、レース中盤は着々と順位を上げていき、23周目には阪口晴南(VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)を抜いてポイント圏内に浮上。その後、31周目に山下、33周目には野尻智紀(TEAM MUGEN)を抜いて8番手までポジションアップしてチェッカーを受けた。 レース後の無線では初入賞を喜んでいる様子だったが、その後状況は一変。31周目に山下をオーバーテイクした際、接触して相手をコースアウトさせたとして、5秒加算のペナルティが科された。スーパーフォーミュラ初ポイントは、幻となった。 「このチャンピオンシップで適用されている“日本独自のルール”に慣れる必要があるなと感じた」と、最終結果に対して納得がいかない様子のデ・フリース。バトル当時の状況と自身の見解については、このように語った。 「この決定の詳細には触れないが、僕としてはコーナーから100メートル以上離れたところから見ている人たちが僕の見解とは異なる判断を下したという認識でいる。正直いうと、すごく“日本独自のルール”ではないかと感じた。ヨーロッパのレースだとそうはならないのではないと思う」 「(外からの)カメラで見ても、コーナーのエイペックスの段階では、僕が彼の半車身前にいたのは明らかだった。僕は通常のラインを通っていて最適なポイントで加速している状態だったけど、限界まで攻めて飛び込んでいたから、最適な加速を得るためにはコース幅いっぱいを使う必要があった。そこに彼は遅れた分を取り戻そうとスペースの少ないところに入ってきたように感じた。実際オンボードカメラだと、彼が僕の真横から突っ込んできたように見える。もちろん、さまざまな見解があるのは分かっているけど、僕はそう感じた」 「僕はスーパーフォーミュラのレースは素晴らしいと思うし、クルマも非常に素晴らしい。しかし、こういった部分のルールが国際基準とは異なるものを取り入れることが『どうなのか?』と僕は思う」 今季の参戦はこれで終了となるが、今後スーパーフォーミュラに参戦する可能性については「基本的にレースが好きだし日本に来るのも大好きだけど……そういったルールの部分が国際基準になっていくのであれば、喜んで出たい」とデ・フリース。彼にとっては後味の良くない形で、3レースのスポット参戦は終了となった。 [オートスポーツweb 2024年10月14日]