「時給はいつも最低賃金」な50代女性が「政治に関心を持つ」ことを諦めない理由
政治を学んで良かったのは「自分のせいじゃない」と思えたこと
――学べば学ぶほど、何も変わらないという無力感に襲われそうです。それでも政治を学んで良かったことって何でしょうか。 和田:少なくとも私の場合、自分の人生がうまくいかないのは、自分のせいじゃないと思えたことですね。フリーランスで音楽ライターをしていますが、足りない部分はコンビニなどのバイトで補填しています。私は自分のそんな人生を、ずっとダメだと思っていたから。 先日、J-WAVEを聴いていたら、うまく生きられないみたいな歌が流れてきたけど、それって自分のせいではなくて、うまく生きさせてくれないこの社会構造のせいなのだから、自分の生き方を嘆くより、うまく生きさせてくれるよう社会をにえていこうよと歌ってほしいなぁと思ったり。余計なお世話ですが(笑)。 同時に、うまく生きられなくても大丈夫な社会になるように選挙に行こうよ、選挙行こうと呼びかけてよ、と願います。私自身は、うまく生きられない私のこのダメな人生も、別に私のせいじゃないと思ったら、こうやってけたたましく笑えるようになったから。 ――不思議なのは、自己責任論を唱える人が必ずしも強者じゃないことです。自分も苦しいはずなのに、自分より苦しんでいる人をときには叩く。 和田:そうですよね。就職氷河期やロスジェネ世代の人は自己責任論がしみついているから。都知事選でも、誰も助けないという石丸伸二さんの政治方針を、石丸さんと同じロスジェネ世代やもう少し上の人が絶賛したわけじゃないですか。社会保障ゼロ、自分でやれみたいな方針が一部には共感されて。 私は都知事選の後、石丸さんのYouTubeをいろいろ見たんですが、政治の話はしていないんですよ。それでいて、うまいのは、親近感を出すところ。政治という場所にいる人が親しげに話すのは新鮮だし、政策より気持ちとして助けてくれそうに思えるのかも。 逆を言えば、今政治をやっている人たちが、あまりにも私たちから離れていて、いい政策を言っても伝わらない。助けてくれそうに感じられない。そして、私たちも政治家にすごく遠慮してしまう。国会議員を偉い人みたいに思って、こんなことを言ったら、聞いたら怒られるんじゃないかとか思ってしまうんですね。