『時給はいつも最低賃金、これって私のせいですか？ 国会議員に聞いてみた。』より

コロナ禍を機に、政治は生活と密接にあり、政治は自分ごとである、と捉える人が増えた。その入り口となった一冊として、音楽ライターの和田靜香さんが立憲民主党・小川淳也議員を直撃、対話を重ねた『時給はいつも最低賃金、これって私のせいですか？ 国会議員に聞いてみた。』(左右社/2021年刊)が挙げられるだろう。 【写真】金子恵美が「衆議院が解散する理由」をわかりやすく解説 政治に関してはいわば素人の著者が、自身の不安や苦しみを国会議員にぶつけ、何度も対話を重ねていくこの本には共感や「泣ける」といった声が続出。幾度も重版を重ね、今回、3年を経て大幅に加筆して文庫化された(朝日文庫)。 和田さんが小川議員に話を聞こうと思ったきっかけは、彼の悪戦苦闘を追った大島新監督の『なぜ君は総理大臣になれないのか』(2020年)を観たことだった。理想をまっすぐに語る志の高さが逆に足かせになって、政界のギラギラした人たちに翻弄されていく――。そんな小川議員に、政治のことについてまっすぐ聞いてみたいと思ったのだ。 ちなみにこの映画はドキュメンタリー映画として異例のヒットとなり、その続編とも言える『香川1区』(2021年)も作られ、最終的には小川議員が地盤看板カバン全て持つ前デジタル相の平井卓也氏に勝つというドラマチックな結末を迎えた。 あれから3~4年、政治に関心を持つ人は確実に増えたはずなのに、政治が変わったか、みんなの暮らしが楽になったかというと、決してそんなことはなく、部分的にはますます悪化している感もある。なかには、政治に関心を持ち、学び、少しずつ知ったことでより一層悩みが深まった人もいるだろう。 そこで改めて、『時給はいつも~』の著者・和田靜香さんに問いたい。3年間で変わったことは何ですか？ 政治に関心を持って良かったことは本当にありますか――。 和田靜香 プロフィール 1965年生まれ。20歳で音楽評論家・作詞家の湯川れい子のアシスタントになり、その後フリーのライターとして音楽や相撲、エンタメを中心に執筆。40代から仕事が徐々に減り、アルバイト生活を送りはじめる。コロナ禍で生活が苦しくなったことをきっかけに一念発起して小川議員に取材し、その問答が2021年に単行本として刊行され、2024年に文庫化。現在、ラジオ、雑誌、ウェブ媒体などで政治を語るライターとしても活動中。Twitter:@wadashizuka