【Around30】秋田美人に会える場所、私が作ります!27歳Uターン女子の挑戦
秋田県の会社に転職し、給料が半分に
化粧品会社を辞めて、地元秋田で起業した先輩の会社に転職した。東京時代の給料が半分になったが、毎日秋田県内のたくさんの企業を回っているうちに、秋田県の魅力に気づいた。どうしたら秋田の魅力を県内外に情報発信できるのか、考えるようになっていた。 「そうだ、フリーペーパーを作ろう」。水野さんの提案で、会社に新しい事業ができた。商品のパッケージやパンフレットを制作する部署はすでにあり、印刷以外は社内で制作できた。営業ルートは既存の顧客や新規を開拓。自社インターネット通販サービスで商品を買ってくれた人には商品と一緒に送り、東京にある秋田県のアンテナショップにも置いてもらった。営業に行った際には取材もこなし、コラムも書いた。タイトルは朝日新聞の「天声人語」にならい、「天声千夏語」。このコラムを楽しみにする読者もいたという。 ゼロから事業を起こした経験が、今の会社経営に生きている。たくさんある秋田の魅力をどう具現化して情報発信していくか。そのためには何が、いつまでに必要なのか。自分は何ができて、何ができないのか。できないなら誰に力を借りればよいのか。一人ではできないことも、周りの力を借りて成し遂げることができる。あきた舞妓事業運営のヒントもこの時につかんでいた。
「会える秋田美人」常設の舞妓劇場を開設
2014年4月に会社を設立して間もなく2年。この春、舞妓事業はまた一つ大きくなる。国からの交付金や、北都銀行からの融資、インターネットで融資を集めるクラウドファンディングも活用して今年5月には、秋田市内に常設のあきた舞妓劇場が開設されるのだ。あきた舞妓事業のコンセプト、「会える秋田美人」がまた一つ具現化した。 劇場では、踊りの披露、記念写真の撮影、あきた舞妓とコラボした商品などを買うことができる。今では料亭のお座敷や観光イベントなどで活躍していて、さらにあきた舞妓の活躍の機会が増えていく。 水野さんの活躍の舞台も増えてきた。日本各地を回り、水野さんのように若くして起業したいと考える若者に講演している。つい先日も仙台市内で数百人を前に話をしてきた。水野さんが起業しようと思った時に、女性で自分と同世代で起業したという人が周囲におらず苦労した経験から、講演会は引き受けるようにしているという。あきた舞妓をブームで終わらせず、産業にして、文化にして、根付かせる。そして、水野さんに続き、地元の良いところ見つけて発信していく若い世代の人たちを応援していきたいと考えているのだ。