昨夏の日本一は「うれしい気持ちと、少しもどかしさも」。選手権初ゴールの明秀日立DF菅野一葵、全国で感じる成長と責任
[12.31 選手権2回戦 明秀日立高 2-0 近大和歌山高 ニッパツ] 全国初ゴールはチームに勢いをもたらした。明秀日立高DF菅野一葵(3年)は後半11分に先制ゴール。「夏のリーグ戦ぶりの得点。それ以外はあまり得点は取れていなかったので、ひさしぶりのゴールだった」と喜びを語った。 【写真】福田師王が大胆イメチェン「ライオンじゃん」「圧倒的金ピカ」 拮抗状態が続く中で、セットプレーで均衡を破った。後半11分、左サイドライン際でFKを得ると、FW竹花龍生(3年)が右足で蹴り込む。「自分と保科(愛斗)がフリーで動く感じ。そのなかで相手と駆け引きをしながら、あそこのポイントに竹花がいいボールをくれた」。181cmの高身長は大きくジャンプしながら、ドンピシャのヘディングシュートを叩き込んだ。 シード校のため2回戦が初戦ということもあり、各選手に固さが見られるなかでの先制ゴール。「初の全国で、最初の試合で勢いづける得点を自分自身が取れたことはすごくうれしい」(菅野)。ゴール直後には仲間とともに喜びを爆発。そのおかげもあってか、固さが取れた明秀日立はその後も追加点を奪い、予選からの無失点も続ける完封勝利を果たした。 明秀日立は昨年夏のインターハイで全国初優勝。竹花やGK重松陽(3年)、MF柴田健成(3年)は2年生ながら主力として活躍した。一方、菅野はインターハイのメンバーからは外れる。「去年は試合にもあまり関われず悔しい思いをした」。仲間たちが初の全国制覇に沸く中で、「うれしい気持ちもあったけど、そこに自分がいないことに少しもどかしさもあった」と当時の本音を口にした。 昨年務めたチームリーダーから今年は部長に就任。「自分が引っ張ってやらないといけないというのは常日頃から思っている」。萬場努監督からも「大黒柱がちゃんと機能してほしい」と言葉をもらい、チームを率いる立場としてピッチ上での活躍も誓う。頼れるディフェンスリーダーとしても「力強さや戦える選手になれたと思っている。そういうところは去年に比べて成長できた」と自信をのぞかせた。 その結果のひとつが県予選から続く6試合連続無失点だ。選手権の初戦でも、公式記録上では近大和歌山をシュート0本と完全に封印。「県予選からの無失点はすごくDFラインの自信になっている。今日もそれを意識してできたし、次も声を掛け合ってその記録を伸ばせるようにしたい」。本職である守備面でも、大きくチームに貢献した。 日本一のメンバーだった阿部巧実(3年)が怪我で今大会欠場。メンバーから外れた悔しさは、菅野が一番知っている。「自分は(阿部と)すごく仲良くさせてもらっている。彼の気持ちも背負ってしっかり戦いたい」。自分のためにも、仲間のためにも、3年間の集大成を選手権にぶつけるつもりだ。