イザベル・ユペールとケイト・ブランシェット/後編。石川三千花さんとヒモ解くファッションと生き方
超然としてかっこいい大人の代表として誰もが思うイザベル・ユペールとケイト・ブランシェット。前編/石川三千花さんのイラスト&エッセイで深堀りに続いて、2人の輝きの秘密を、石川三千花さんのエッセイに出演作やファッションのピンナップも加え深めます。 【画像一覧を見る】
公私でそれぞれおしゃれも光り、美しさ、さりげなさをたたえる。
\イザベル・ユペール style/ 俳優として汚れ役や老いをさらすなど妥協のない仕事ぶりを見せる反面、彼女たちが映画祭のレッドカーペットやプレミア上映会、またはファッションショーのフロントロウで華やかなドレス姿を見せてくれるのもファンには嬉しいもの。 イザベルはフレンチシックなシンプルドレスが好みだが、『バレンシアガ』のブランドアンバサダーに就任して、同ブランドのグリーン一色のドレスなども着こなし、俳優業同様に攻めのスタイルにチャレンジ。70代で変わらぬ体型をキープしているのは、驚異的でもある。彼女の私服スタイルは、フランス人の大好きなデニムやトレンチなどの定番を、さりげなく着くずすカジュアルスタイル。普通なのにキマってるって、最高にカッコいい! \ケイト・ブランシェット style/ 174センチで長身のケイトはどんなドレスも着こなし、毎度ながらレッドカーペットの華だ。ケイトといえば『アルマーニ』の印象が強いが、アンバサダーを務める『ルイ・ヴィトン』のゴールドのドレスで今年のカンヌ映画祭のレッドカーペットに現れた姿は、まるで黄金の彫刻のように美しかった。そんなエレガントなケイトだが、私服のラフなスタイルがこれまたカッコよくて、ハンサムウーマンそのものだ。
先端をいき主張を強くもち、ふだんは自然という姿が共通。
トップクラスの俳優でベテランの域にあるイザベルとケイトは、国際映画祭で審査委員長を務めるなど、映画界で影響力を持つ存在だが、彼女たちの発言がマスコミに大きく取り上げられて、性差別や偏見の意識改革につながっている。ケイトは自分のことを「女優」ではなく「俳優」と呼ばれたいと明言して、良い演技には女優賞も男優賞も関係なく、演技賞の1本化を成したベルリン映画祭を支持。自分の立場や主義主張を明確に表す潔さは、俳優以前に人として感服する。 そんな完璧に見える2人も、家庭に入れば子供たちの母親でもある。ケイトは4人の子供がおり、夫で劇作家のアンドリューが過去に年若い女優との親密写真がパパラッチされて離婚の危機だと噂されたが、大人の対処で元さやに。 女優の娘を含む3人の子供を持つイザベルは、娘と共演もして良好な関係だが、イザベル本人の無愛想ともいえる態度で、しばしば周りの人間が戸惑う場面も。ブレない、媚びない、動じない、という公共の場の彼女たちにも、私たちと同じような失敗や欠点があることが、かえってその人間力の魅力になっているように思う。