‟小麦大国”群馬の「沼田名物 だんご汁」って知ってる? 「すいとん」との違いは?
いびつな“だんご”は、小麦が香る程よいモチモチ食感が肝
そして、ついに野菜の下から「だんご」がお目見え。だんごと言いながら、平べったい楕円形なのでどこからどう見てもすいとんのそれだけど、やっぱり手でちぎる方が凹凸が出来て味が染みやすくなるから理にかなってる気がする。 そしてこのだんご、ほどよい弾力とモチモチ感、いい意味で重たさが全く感じられない。それでいて噛んでいる間に小麦の風味をしっかり感じられるのだ。聞けばブレンドした地粉を使っているのだそう。 この店は醤油ベースだが、味付けは味噌だったり、中華風だったりと、店や家庭によってさまざまらしい。 そもそも、どうしてこの地域は「すいとん」のことを「だんご汁」と呼ぶかというと、かつて小麦粉の生産が全盛期だった頃、すいとんはこのあたりの家庭でよく食べられるものだったそうだ。そこで、地域の名物料理を作ろうじゃないかとなった際、「すいとん」を「だんご汁」と言い換え、飲食店は各々趣向を凝らした味付けにするなどして盛り上げていたのだとか。 だが、ここ数年で提供する店がどっと減り、今や提供している店が2、3あるかないかだという。 沼田はスキー場が多くあり、これからの時季はウィンタースポーツ目当てに都心からもたくさん人が訪れる。このだんご汁を食べに来る人が増えれば、最後の一店舗になってもきっと続けていけるはず。……そう願わずにはいられない。
そんなこんなで、当初心配していたご飯も気が付けば完食。だんご汁おかずにご飯をかき込む、これぞ最適解。そして2つ付いてきた小鉢もしっかりおいしい。本当に満足度の高い定食だった。 そういえば、ずっと気になっていた「たこ八」という店名の由来を店員さんに聞いてみた。「この辺りの人は、悪口で 『このたこ八が!』 って言うんですよ。意味は半人前のくせに、みたいな感じなんですけど。先代が戒めの意味を込めて付けたみたいなんです」。 なるほど。 「ただね、タコ焼き店と間違えられちゃう」。 やっぱり(笑)。 でも間違えたっていいじゃない。味は間違いなく一人前ですから! 取材・文=アントレース
OCEANS編集部