海外メディアも宇野の逆転Vを絶賛「誰も彼のレベルに近づけなかった」「故障乗り越え再起のスケート」
フィギュアスケートの四大陸選手権男子フリーが9日(日本時間10日)、米国のアナハイムで行われ、ショートプログラム(SP)で4位と出遅れた宇野昌磨(21、トヨタ自動車)がフリーで今季世界最高得点となる197.36点をマーク、8.42点差をひっくり返して合計289.12点で逆転優勝を果たした。右足首の捻挫などで練習量が足りないまま迎えた大会でSPではジャンプのミスを続けていたが、見事に修正してのV。平昌五輪も含めて2位ばかりで「シルバーコレクター」と呼ばれてきた男が、その呼び名を返上して見せた。 国際スケート連盟(ISU)の公式サイトは、さっそく「日本の宇野がアナハイムで金を掘り当てるべく奮起した」との見出しを取り、「宇野はスケートだけに集中。興奮した様子は最後まで見せなかった」と、演技を終え、喜びより先に、その場で崩れ落ちるほど集中していた宇野の姿を伝えたが、海外メディアも、次々と、この逆転優勝を報道した。 ロサンゼルス・タイムズ紙は「日本の宇野が四大陸選手権でタイトルへ躍動」との見出しを取り、「宇野昌磨がベートーベンの『ムーンライトソナタ』に乗って、ほぼ完ぺきな演技を終えたとき、彼は、まるで体の中にもう吐く息も進む力も残っていないかのようにホンダセンターの氷上に膝をついた」との描写で宇野の逆転優勝を伝えた。 記事は、「1年前の平昌五輪で銀メダリストだった宇野が足首の痛みを乗り越え、接戦となった四大陸選手権のフリーで首位へ躍り出た。頭を上げて、観衆の大声援に応える前に、たくさんの思いが彼の頭の中を駆け巡っていた」と、宇野が、この1か月で3度の右足首捻挫を負う苦難を背負っていたことを紹介し、「土曜日は誰も21歳の日本人スケート選手(の宇野)のレベルに近づくことはなかった。彼はSP4位から躍進して勝利を鳴り響かせた」と絶賛した。 オレンジカウンティ・レジスター紙は「宇野、再起のスケートで勝利」とのタイトルで報じた。 「宇野にとって最も厳しかったことは待つことだった。五輪銀メダリストの宇野は、最終組の最初に滑り、フリースケートでシーズンベストとなる197.36点をマークし、合計289.12点で首位に立った。宇野はそこからホンダセンターのバックステージで、彼よりも上位の3人を含む4人の競技を40分間、待つことになった。(そして)誰1人として宇野に迫るものはなかった」と宇野が逆転優勝をつかむまでの経緯をレポートした。 宇野は演技後、SP首位のヴィンセント・ジョウ(米国)、同5位のキーガン・メッシング(カナダ)、同3位の金博洋(中国)の結果を待ち逆転Vを手にした。 また記事は「四大陸選手権に向けた彼のトレーニングは故障のために限られていた」と、調整が難しかったことに触れ、「それにもかかわらず、彼はSPの後、9ポイント以内で(首位の)ジョウを追った。(フリースケートで)差を埋めるために費やした時間はわずかで、4回転フリップ、4回転トゥループから滑り出し、演技の終わりに膝を落とすまで決して振り返ることはなかった」と試合の様子を伝えた。