上司をイラつかせる「わからない文章」を書かないための「毎日の習慣」とは
「書く」ことが日常的に減っているなかで、いざ文章を書こうとすると、何を書いていいのかわからない、稚拙な文章しか書けない、と頭を悩ます人もいるだろう。書くことへの苦手意識を取り払って40代からでも文章が上達するコツを教育学者・齋藤 孝氏が解説する。本稿は、齋藤 孝『40代から人生が好転する人、40代から人生が暗転する人』(宝島社)の一部を抜粋・編集したものです。 【この記事の画像を見る】 ● 文字を書く力も40代では大切 構成力があれば文章力は向上する 日本人として「文字を書く」ということの大切さについても、40歳の節目でしっかりと考えていくべきテーマだと思います。 人生の折り返し地点を迎えた40代にとって、「書く力」もこれからますます社会から求められるはずです。 近年はチャットGPTのような生成AIが浸透していますので、「別に自分で書かなくてもいいじゃないか」と考えている人も中にはいるかもしれません。あるいは、書かなくていいとまで言わなくても「上手に書けなくたっていいでしょ」という人は多いのではないでしょうか。 しかし、それは「考える」という作業を人間が放棄することを意味しています。考え続けるということは、人間の知的活動で欠くべからざる重要な作業です。 パスカルは自身の思想をまとめた『パンセ』の中で、「人間は自然のうちでもっとも弱い1本の葦にすぎない。しかしそれは考える葦である」と言っています。
人はかよわき存在でありながらも、思考をする偉大さを備えているということ。その思考を捨ててしまうのであれば、もはや1本の弱々しい植物に過ぎません。 一般に、地頭がいいと言われる人は文章もそれなりに上手です。博物学者のジョルジュ・ルイ・ルクレール・ビュフォンは、文章にはその人の人格が表れるという趣旨の言葉を残しています。 これが俗に「文は人なり」の格言として世に広まっています。 頭がいい人がなぜ文章もうまいのか。それは1つには構成力があるからです。 目の前にまっさらな原稿用紙を置かれて「さぁ、日本の少子化について思うことを30分で書きなさい」と言われたら、これまで少子化について多少なりとも考えてきたこと、実際に経験してきたこと、不思議に思ってきたことなどの情報を、制限時間の中で構築し、文字化する作業を強いられることになります。 その際、少子化問題について日頃から専門的に学んでいればかなり有利ですが、必ずしも特化した知識がなくても、自分なりに得てきた情報を再構成し、読みやすく組み立てて書くのが文章力というものです。