新車が売れない! 今、日本の自動車市場で何が起きている?
■場外バトル過熱で、割を食ったのは? ところがである。そんな節約志向の中で、海外ブランドの高級EVだけはニッポン市場で人気を集めているというから、ビックリ仰天! 「上半期、EVは1万785台(前年同期比17%増)をマークし、輸入車全体の10%を占めている。国や自治体の補助金の存在が大きい」(前出・海外ブランド車の幹部) だが、日産自慢の軽EVのサクラは前年同期比38%減ともがき苦しむ。今、ニッポン市場で何が起きているのか? 「富裕層は原資が血税の補助金を利用して海外ブランドの高級EVが買える。富裕層は安価な軽EVにあまり興味はなく、頼みの綱の庶民は実質賃金マイナスにより家計は火の車で、軽EVどころではないかと」(自動車誌の元幹部) つまり、この国は二極化が進んでいるのだ。富裕層は海外ブランドの高級EVを乗り回し、庶民は物価高や電気料金の大幅値上げに悲鳴がもうどうにも止まらない。しかも、この厳しい状況は下半期も続きそうだ。 実は7月19日に政府が、経済財政諮問会議(議長=岸田文雄首相)で自動車メーカーの認証不正問題の影響などを踏まえ、今年度のGDP(国内総生産)の実質成長率を今年1月に試算した1.3%から0.9%に下方修正しているからだ。 さらに気がかりなことも。実は認証不正問題に端を発した国土交通省とトヨタのスッタモンダの場外バトルが話題を集めた。ザックリ言うと、トヨタの豊田章男会長が認証制度の見直しを口にしたことで、《日本の認証制度はガラパゴスだ!》などとファンらがネット参戦し、完全にカオス状態に。すると、この"ガラパゴス"というワードに国土交通省のお役人が即反応。異例の大反論をブチあげ、一部メディアがそれをあおりにあおった。 報道が火に油を注いだかどうかは不明だが、7月18日、豊田会長は報道陣の前で、「みんな(自動車業界)この国を捨てて出て行ってしまいます。出て行ったらこの国は本当に大変ですよ。ただ、今の日本は、ここで踏みとどまって、頑張ろうという気になれない。(メディアは)強いものを叩くことが使命だと思ってらっしゃるかもしれませんが、強いものがいなければ、国というものは成り立ちません」と海外移転を示唆するような、"世界のトヨタ砲"を炸裂させた。 7月31日。国交省はトヨタの佐藤恒治社長を呼び出して是正命令書を手渡した。これまでトヨタは7車種の衝突試験で不正があったと発表していたが、国交省の調査で新たに7車種の不正が明るみになった。 これで今回認証不正が発覚したトヨタのクルマはホンダの22車種(ホンダには行政処分ナシ)に次ぐ14車種となった。ちなみに不正はあったが、使用に関しては問題がないという。一連の生産停止などで割を食ったのは、大企業トヨタではなく、取引先の中小企業や地域経済である。 このありさまでは下半期も新車は売れず、来年度のGDPはダダ下り確実か!? 取材・文・撮影/週プレ自動車班 写真/時事通信社