プライベートクレジット会社、資金は潤沢-貸付先不足が悩みの種
(ブルームバーグ): プライベートクレジットの歴史的な拡大は多くの運用者に、潤沢過ぎるほどの資金があるのに十分な貸付先がないという問題を引き起こしいてる。
プライベートクレジットファンドが集めた資金のうち、まだ貸し付けていない額は過去最高となっている。バイアウト企業からの資金需要が依然として低調なことや、銀行のレバレッジドファイナンス部門がビジネス奪還を図りますます攻勢に出ていることが背景だ。その結果、プライベートクレジット会社の間で「底辺への競争」と呼ばれる現象が起きている。
「需給バランスの崩れから、プライベートクレジット市場の一角で行動の変化が見られる。最もタイトな条件を競い合うオークションのようになっている」と、ファミリーオフィス会社アキレス・マネジメントを経営し、プライベート資産全体に投資しているサチン・カジュリア氏は言う。「つまり、競争によって引き受け基準が弱くなっている」と説明した。
1兆7000億ドル(約267兆円)規模のこの業界の運用会社は、案件を獲得するためにより安い価格を提示し主要な投資家保護を放棄している。また、より大きな融資枠を独り占めしてレバレッジドローン市場からビジネスを奪うために土壇場で急襲することもある。
アポロ・グローバル・マネジメントの元パートナーのカジュリア氏は、「今は、プライベートクレジットを厳選すべきときだ」と語った。
ここ数週間、ダイレクトレンダー(直接金融業者)は市場でこれまでにないほど積極的な融資条件を提示している。
プライベートレンダーの1グループは先月、サプライチェーンリスクマネジメントのソフトウェアを手掛けるアベッタの買収資金としてEQTに担保付翌日物調達金利(SOFR)に4.5ポイント上乗せという過去最低の金利での融資を提案した。
今月には直接金融業者がKKR傘下のデポ・コネクト・インターナショナルに額面1ドル当たり99.75セントと、プライベートクレジットとして最小クラスのイシューディスカウントで融資した。