【都市対抗】無念の初戦敗退も…沖縄県勢初勝利の悲願達成へ今後も力を尽くす田場亮平
好打でマルチ安打を記録
【第95回都市対抗野球大会】 7月19日 東京ドーム ▽1回戦 トヨタ自動車1x-0沖縄電力 社会人野球の日本一を決める第95回都市対抗野球大会が7月19日に開幕。30日の決勝まで、東京ドームを舞台に12日間にわたる熱戦が繰り広げられることになる。 開幕カードには大会初勝利を目指す沖縄電力(浦添市)が登場。前回大会優勝の王者・トヨタ自動車(豊田市)に挑んだ。 沖縄電力は今大会に出場するチームのなかでは最長のブランクとなる10年ぶりの出場。初めての東京ドームという選手も多いなか、補強選手を含めると個人では11回目の出場となるのが主将・田場亮平(前原高)だ。 田場は沖縄電力一筋、15年目の32歳。チャンスに強い右打ちのクラッチヒッターとして、2021年にはHonda熊本の補強選手として全5試合で「五番・三塁」を任され準優勝に貢献。今年は久々に自チームでの本大会出場となり「補強のときから『九州代表として勝つ』という思いは変わっていませんが、10年間も出ていなかったので感慨深いものがあります」と語っている。続けて「これまで補強先のチームでいろいろと学ばせていただきましたが、技術面の高さや精神面のタフさ。そして、組織力をチームに持ち帰ることができ、それが今年の都市対抗出場につながったのだと感じています」と振り返った。 今季も沖縄電力の主砲を務めてきた田場。この日のトヨタ自動車戦も「四番・二塁」で先発出場すると4回表の第2打席に、トヨタ自動車の先発で昨年の都市対抗では橋戸賞(最優秀選手)を受賞している嘉陽宗一郎(亜大)からライトへチーム初安打。145キロの外寄りの真っすぐを素直に逆方向へ打ち返した。 「嘉陽投手のストレートが良いのは分かっていましたから『速いボールに負けないように』と思って振ったら結果としてライト前へ打てました」 9回表には二死から浮いたチェンジアップをたたいて三遊間を抜き、マルチヒットを記録。その後、トヨタ自動車は今大会で引退を表明していると佐竹功年(早大)をマウンドへ送り、沖縄電力は二死満塁と攻め立てるも得点には至らず。逆に9回裏はエラーからピンチを招くと、最後は高祖健輔(環太平洋大)にライト線へ運ばれて、0対1と無念のサヨナラ負けで、今大会も初勝利ならなかった。 「あと一歩でしたが、ミスから相手にチャンスを与えてしまいました。今日は勝って、2回戦も沖縄電力のユニフォームを着て戦いたかったのですが……」と悔しさをにじませた田場。しかし、トヨタ自動車と僅差の接戦を演じ「全国大会でも戦える自信がつきました。この借りは同じ都市対抗の舞台でしか返せないと思うので、日本選手権の代表権を獲得して、来年の都市対抗へつなげたいです」と語り、来季への意欲を示した。 社会人野球で30歳を超えてもなお、現役を続けられる選手は多くない。だが、田場は都市対抗での沖縄県勢初勝利という悲願を達成するため、今後もチームのために力を尽くす。 文=大平明
週刊ベースボール